セリアLEDソーラーキーチェーンライトの長寿命化改造をやってみた

セリアで販売しているLEDソーラーキーチェーンライトの製品寿命が1年ほどみたいなため、長寿命化改造を行ってみた。

 

 

<製品レビュー>

まずは製品外形から。これが表面で、ソーラーパネルが付いている。

 

これが裏面で、白い突起のようなものがライトのスイッチとなっている。

正直押しにくいし、むき出しのソーラーに触れちゃうが、まぁ100円だから仕方ない。

 

このサイズにしてはかなり明るく、手元どころか室内全体を照らせるレベル。

パッケージ裏によると、充電時間は8~10時間で、連続点灯時間は約30分のようだ。

そして、内蔵充電池の寿命が約1年らしい。

まぁ使い方次第でもっと持つはずだが、製品として保証できるのは1年までってとこだろう。

 

 

 

<分解>

初期不良はなかったので、とりあえず開けてみる。

突起が6個あるだけでツメやネジはないので、キーホルダーの根元をひねって隙間を作り、爪などで広げれば簡単に開けられる。

これが中身。

 

充電池はボタン電池ニッケル水素電池が3個直列で3.6Vとなっている。

容量は40mAhとかなり少ないが、これだけでも確実に100円以上する。

 

これを回路図にしてみるとこんな感じ。

ソーラーの回路記号が、LEDの矢印逆版ってことを初めて知った。

回路について簡単に説明すると、ソーラー(D1)で発電された電力が、逆流防止のD2を通ってニッケル水素電池に充電される。

そして、スイッチを押すと2個のLEDに電流が流れるといったところ。

 

で、この回路は単純すぎるあまり、いくつか問題がある。

  • そもそもLEDに電流制限抵抗がない。中には抵抗内蔵しているやつもあるけど、これは見当たらない。
  • LEDに流れる電流は、製品仕様より1個当たり40mAと思われる。このタイプ(砲弾型)のLEDは定格20mA、最大30mAぐらいが相場のため、過電流で壊れる可能性がある。
  • ニッケル水素電池の充電に過充電防止回路がない。4.2~4.3Vぐらいで満充電だと思われるが、ソーラーの発電電圧はそれ以上のため、普段「日光当たるところで充電しとこ」と放置すると、過充電により寿命が一気に縮まる可能性がある。
  • また、ニッケル水素電池の過放電防止回路もなく、LEDの順方向電圧(電流が流れるのに必要な電圧)は実測より2.5~2.8Vのため、終止電圧3.0Vを下回る。使い切った後は充電しないと、やはり過放電により寿命が一気に縮まる可能性がある。
  • さらに、ニッケル水素電池は継ぎ足し充電に弱く、メモリー効果が発生しやすい。やはり(ry

つまり、製品仕様的にニッケル水素電池とは相性が悪い。

上記の問題により、使い方が悪いとすぐに壊れる可能性もあるため、長寿命化の改造を行ってみた。

 

 

 

<改造>

改造後の回路図は以下の通り。

回路の修正点は以下の通り。

  • 内蔵充電池を電気二重層コンデンサに変更した。電気二重層コンデンサは過放電に強く、10年は持つと言われている。
  • 電気二重層コンデンサの過充電防止にツェナーダイオード(ZD1)を追加。ツェナーダイオードは一定電圧以上で逆電流が流れるダイオードで、5.6V以上で流れるものを使用して過充電を防止する。電気二重層コンデンサの定格は5.5Vのため0.1Vオーバーするが、それぐらいなら大丈夫だろう。
  • LEDに電流制限抵抗47Ωを追加した。最大電源電圧は5.6V、LEDの順方向電圧は2.8Vのため、LEDに流れる最大電流は(5.6V-2.8V)/(47Ω*2個)より29.8mAとなる。まぁすぐ電圧が下がるため、10~20mAぐらいがメインとなるはず。

ちなみに、部品代は170円ぐらい。

 

改造後はこんな感じになった。

スイッチの上部分の焦げ茶色はパターンカットした跡。

カットしたい部分の両端に切り込みを入れ、レジスト(緑の絶縁塗料)を剥がしてはんだこてを当てれば、接着剤が溶けて簡単にパターンカットできる。

抵抗とかツェナーダイオードの部品配置おかしくない?と思うかもしれないけど、スイッチのプラスチックの成型がかなりシビアで、ちょっとでもジャマしちゃうと押せなくなるため、避けるようにしている。

 

 

 

<評価>

改造後の回路について、いくつか評価を行ってみた。

 

・充電

窓際に置いて充電したところ、5.1Vで充電が止まっていた。

ソーラーの発電限界がそのあたりなのか、ツェナーダイオードにわずかに電流が流れたと思われる。

充電時間は空の状態から50分ぐらいだった。

 

・明るさ

満充電時の明るさ比較を行ってみた。左が改造後で、右は比較用の未改造品。

肉眼だと未改造品の方が若干明るいが、ほどんど遜色なかった。

ただし、改造後は容量が低下するとどんどん暗くなるため、遜色ない明るさなのは最初の1分程度だった。

ずっと光らせていたところ、明るいと言えるのは最初の3分ぐらいで、8分ぐらいまではまだ実用的だが、それ以降は1m先の文字なら読める程度にまで暗くなった。

 

・その他

保護回路等は追加したが、直射日光に当てると結構熱くなるため、ソーラーパネルの方が先に寿命迎えるかも。黒はマジで熱いし、目立ってナンボのため、白がいいと思う。

また、電気二重層コンデンサは自然放電が電池より多いため、暗いところに放置していると電圧が下がってくる。最初の3時間ぐらいで4V近くまで電圧が下がったが、その後は比較的安定し、5日ぐらいは放置してもそれなりの明るさを保っていた。

 

 

 

<おわりに>

ライトとしての単純なスペックはダウンしたものの、長寿命部品や保護回路を追加したことで、かなり信頼性が高くなった。

元々の用途が、自宅の鍵開け時やトイレ行く時ぐらいだと考えると、十分実用的だと思う。

比較用のやつも同様の改造を行ったため、1つは枕元、もう1つは防災袋入りかな。