ほんとにあった!呪いのビデオ16レビュー

評価:★★★★★★☆☆☆☆
自殺がテーマの問題回。
投稿映像は全体的に弱いが、メインの隠しメッセージがよくできている。

 

 

 

<卒業旅行>
   恐怖度:★★
 インパクト:★★★
分かりやすさ:★★★
  不気味さ:★★
 エピソード:★★★
卒業旅行で沖縄に行った際に撮影された映像。
自殺スポットとしても有名な岩壁で雑談をしていると、隣の崖から飛び降りる人が映っている。
白昼堂々飛び降りているが、投稿者らだけでなく他の観光客も気付いていないため、幽霊である可能性が高い。
怖さはないがインパクトはあり、自殺がテーマの今回にふさわしいオープニングとなっている。


ところで、こんな自殺スポットとしても有名な崖なのに柵とか警備とかほぼないし、投稿者らも平気で縁の方まで行くし、大丈夫なのかここ?

 

 

 

<引っ越し先に・・・>
   恐怖度:★★
 インパクト:★★★
分かりやすさ:★★
  不気味さ:★★
 エピソード:★★★
引っ越し先の新居に荷物を運んでいる様子を撮影した映像。
いい物件がほとんどない中、相場よりかなり安い物件だったため即決したという。
そして、問題の部屋に住んでいる投稿者の友人は、もともと綺麗好きだったのに部屋を散らかしていたりと異変が起きている。
また、インタビュー後、自殺未遂を繰り返すようになってしまう。
肝心の映像は、家具の組み立てを行っている最中、投稿者が咳をしたタイミングで窓に首を吊ったような人影が映り込むというもの。
一瞬だが揺れ方がかなりリアルで、まさに今、首を吊ったようにぷらぷらしている。
投稿映像は大したことないが、本作のテーマが凝縮されており考察しがいある。

 

 

 

<死の予告>
※評価は後編に記載。
製作委員会に差出人不明の謎のビデオが大量に送られてきた。
その内容は、挙動不審な男の日常風景が映されているというもの。
その結末に2度驚かされたというナレーションが入り、謎を残したところで次へ。

 

 

 

<体育館に唸る音>
   恐怖度:★
 インパクト:★
分かりやすさ:★
  不気味さ:★
 エピソード:★
卒業を控えた学生が思い出を残すために、体育の授業の様子を撮影した映像。
だが撮影者は男で、女子ばかり映している。オカズ目的だろ。
ビデオカメラの写真機能(シャッターのようなエフェクトが入り、数秒間写真のように静止画が表示される機能)で遊んでいると、ある特定の女子だけ毎回ブレている。
また、謎の高い音が3回連続で鳴っている。
ブレているのはズームし過ぎのせいで、シャッターを切る直前にブレているのでこれは心霊現象ではない。
音の方はシューティングゲームの射撃音みたいなもので、こんなのを心霊現象だと思って投稿する方がおかしい。
一応、この音はスローモーションにすると「消えろ」と言っているように聞こえるというギミックがあるが、案外ゲームの効果音もそうやって作っているのかもね。

 

結論:せっかくのオカズを手放すなんて、もったいないことしたな。

 

 

 

<ライブハウス>
   恐怖度:★★
 インパクト:★★
分かりやすさ:★★
  不気味さ:★★
 エピソード:★★
青春パンクって感じのバンドが、ライブハウスでセッションしている様子を撮影した映像。
演奏中、ドラム担当が気を失い倒れてしまう。
その前のカットで、ドラム担当の両肩に真っ赤な手がもたれかかっている。
だが、その前後に編集点があるし、胴体は見当たらず左右の手が繋がっているみたいで、ネックピロー(U字型の枕)に赤い手を付けたように見える。
ハッキリ言って、売名目的の創作としか思えない。
そのくせバンド名を名乗らなかったし、何をしたいのやら。

 

 

 

<背後に佇む少女>
   恐怖度:★★
 インパクト:★
分かりやすさ:★★
  不気味さ:★
 エピソード:★
友人らと散歩しながら駄弁っている映像。
罰ゲームでコンビニの店員に告白するのだが、相手は男だしスルーされているのが滑稽。
しかもこのくだりは全く意味なし。
場面は変わってサッカーボールを拾い、駐車場でパスして遊んでいると、撮影者の左側にいる男性の背後に人が立っている。
幼稚園近くだから少女ということなんだろうけど、どう見ても160cmぐらいあるし、顔も幼くないし、そもそも性別が分かるほどハッキリ映っていない。
これを少女(それも幼稚園児)扱いするスタッフの頭は大丈夫か?
あと、撮影者もパスに参加している上、無駄にズームしたりするからブレまくりで目に悪い。

 

 

 

<叫び>
   恐怖度:★★
 インパクト:★★
分かりやすさ:★★★
  不気味さ:★★
 エピソード:★★★
彼女と公園でデートしながら撮影した映像。
このビデオを見てから彼女の様子がおかしくなり、連絡が取れなくなったという。
彼女に何かあると睨んだスタッフは、彼女の自宅前に張り込み取材を行う。
何と、彼女は投稿者の友人と浮気をしていて、その相手との子供を妊娠していたという。
そして、投稿映像が撮影されてすぐに、子供を堕したらしい。
肝心の映像は、デートの途中、左側から赤ちゃんの泣き声のようなものが聞こえるというもの。
「やめて」と言っているらしいがそうは聞こえん。
見たところお腹は膨らんでいない(っていうか膨らんでいたらバレる)ので、妊娠3ヶ月ぐらいだと思うが、声を出すことできるのかな?
そもそも、撮影時はまだお腹にいたはずだから、後によく出てくる変化したタイプなのかも。
投稿者は知らないままっぽいが、彼女の浮気に妊娠からの中絶と、いろいろとやりきれないエピソード。

 

 

 

<シリーズ監視カメラ 誘い>
   恐怖度:★★
 インパクト:★★
分かりやすさ:★★★
  不気味さ:★★
 エピソード:★★
踏切に設置された監視カメラの映像。
手前側を走る電車の窓に、3mはありそうな人影が映り込んでいる。
これ自体は並と言ったところ。
その後、女子高生が線路上で気を失ったように倒れるのだが関係ないだろ。

 

 

 

<続・死の予告>
   恐怖度:★★★
 インパクト:★★★★★
分かりやすさ:★★★
  不気味さ:★★
 エピソード:★★★★
相変わらず挙動不審な男を淡々と映したビデオ。
この男は言語障害があるのか、言葉が詰まったり、よく咳をしている。
就活をしているようだが、お祈りの電話をもらってしまい落胆し、突然「死にます」と宣言する。
「この後、ご覧になる映像は、実際の自殺現場の映像です。・・・」という警告テロップが出る中、淡々と天井にロープを仕掛け、首に通す。
そして、いざ飛び込んだ瞬間「ご覧になりますか・・・?」と再度警告が入り、カウントダウンも出てくる。
カウントダウンが明けると、息絶えてぷらぷらしている男が映し出させる中、電話が鳴り留守番電話にこの男の声が流れる。
自殺の瞬間を見せるという邪道に反して事象はショボく、そのまま終わってしまうため、これだけだと何じゃこりゃとなるだろう。

 

このエピソードの真のメッセージは「引っ越し先に・・・」とのリンク。
「引っ越し先に・・・」の部屋は畳で1階なのに対し、「死の予告」の部屋はフローリングで2階以上(窓の奥に非常用階段がある)ため現場ではないが、事象の首吊りとこの男の服装が一致しており、咳をした直後に現れるというのも、この男との関連が想像できる。
そう考えると、「引っ越し先に・・・」の投稿映像や取材映像にあるちょっとしたことも、何かの伏線のように思えてくる。

実は映っていないもう1人の部屋が現場だったんじゃないかとか、

「死の予告」の投稿者こそ「引っ越し先に・・・」の部屋の元住人で、後に同じ運命を辿ってしまったのではないかとか、

新居前ですれ違った外国人が運んできてしまったんじゃないか(笑)とか、考察するのも面白い。

これをあえてスルーしたのは、坂本演出期によくあった「あえて事象をスルーする」「想像を掻き立てられる」エピソードの1つの完成系といえる。
また、心霊映像の中には幽霊の正体を特定できるものもあるが、その人が死ぬ瞬間を捉えたものは貴重だろう。

 

 

 

<総評>
★★★★★★☆☆☆☆
4代目演出の福田氏によるほん呪デビュー作。
「自殺」を隠しテーマにしており、これに関するエピソードの完成度は高い。
特にメインの隠しメッセージが非常に良くできており、邪道ではあるがこれだけでも見る価値は十分ある。
反面、投稿映像は全体的にショボく、無駄に長いものも多い。
隠しメッセージに気付けなかったら★3レベルだった。