ほんとにあった!呪いのビデオ29レビュー

評価:★★★★★★★★★☆

引っかけが多く登場するパート。

特に1本目は、シリーズファンほどドツボにはまる傑作。

 

 

 

<白面の女>
   恐怖度:★★★★★
 インパクト:★★★★★
分かりやすさ:★★★
  不気味さ:★★★★
 エピソード:★★★★★
カップルが宿泊先の旅館の裏にあった廃墟で撮影した映像。
3つ目の部屋を見て回り、帰ろうとすると、浴室のドアから90°傾いた女性の顔がこちらを睨みつけている。
そして、それに気付いた彼氏はビビって悲鳴を上げ、彼女を置いて全速力で逃げ出す。
暗い場所に現れるため少々分かり辛いが、女の表情、少しづつハッキリ映っていく様子がなかなか怖く、掴みはバツグン。
また、この廃墟ではかつて、女性の首吊り自殺があったという。

 

実はこの映像、事象がもう1つある。
2つ目の部屋で朽ちた天井を映しているが、1度カメラを逸らした後、もう1度向けると白い手が映っている。
これ自体は怖くないし、分かりやすさ★2相当(初見では分かりにくい)なのだが、訓練されたシリーズファンなら初見で分かるだろう。
そして、「何だこれか、大したことないな」「長いな、リプレイまだ?」「そういえばタイトルに女ってなかったっけ?まぁどうでもいいけど」「なんか白いのが・・・ってワアァァァァー」となる、シリーズファンこそ引っかかるギミックとなっている。
筆者はどうだったか?もちろん引っかかったわ!ちくしょう!!

 

 

 

<占い師1>
   恐怖度:★★
 インパクト:★★
分かりやすさ:★★★★
  不気味さ:★★★
 エピソード:★★
今回のメイン。
有料制アダルトサイトでストリーミング配信されている、女性の部屋を監視カメラのようなもので映している映像。
突然映像が途切れ、投稿者が家に向かうが応答はなく、戻ってみると映像は直っていたが女性がいなくなっていた。
そして、女性はそのまま行方不明になったという。
まずは行方不明になった女性について調査をすることに。
しかし、両親は取材拒否だし、アパートに曰くはなかったため行き詰まってしまう。
すると投稿者から追加情報があり、女性がベッドの下に紙みたいなのを貼っているというコメントがあり、映像を確認すると確かにそれっぽい行動をしている。
とはいえ、それぐらいしか情報がないため、再び行き詰まってしまうが・・・

 

ここで肝心の映像。
寝支度をして照明を落とすのだが、妙に明るい。
そういうサイトだからファンサービスしてるのかな?
それはともかく、寝静まった頃に真っ黒な人影が部屋の奥から現れ、ベッドへ上がり込んだところで映像が途切れる。
ベッドが全く軋んでいないのが興味深い。
やっぱり幽霊さんは質量を持たないのかな?
また、長さ50cmぐらいの棒のようなものを持っているように見える。
まぁ位置の関係でイチ○○に見えてしまうのだが(笑)
この後行方不明になったことを考えると、危害を加えようとしているように見えるため、それなりに怖いものとなっている。

 

 

 

<お正月>
   恐怖度:★
 インパクト:★★★
分かりやすさ:★★★★
  不気味さ:★★
 エピソード:★★
お正月におせちを食べている映像。
画面左にいる子供の背後に、着物を着た女性が映っている。
半透明なため霊だろうけど、ハッキリ映り過ぎているためあまり違和感がない。
まぁ悪い人じゃなさそうだから、この子の先祖かもね。

 

 

 

<送別会>
   恐怖度:★★
 インパクト:★★
分かりやすさ:★★★
  不気味さ:★★
 エピソード:★★
居酒屋で撮影された送別会の映像。
かつてこの居酒屋では、酔っぱらい同士の喧嘩で、刃物を使った殺傷事件になったことがあるという。
テーブルの下を映していると、奥から血に塗れた手が少しづつ伸びてくる。
助けを求めているようにも見えるため、上記のエピソードを裏付けていて悪くない。

 

 

 

<占い師2>
   恐怖度:★★★
 インパクト:★★★★
分かりやすさ:★★★★
  不気味さ:★★★
 エピソード:★★★★
メインの中編。
黒い影が持っている棒っぽいものに、岩澤は心当たりがあった。
投稿映像データベース(何それ、メッチャ見てみたい!!!)を見直していたところ、1年前に似た事象が投稿されていて、不採用にしていたという。
わずかな手がかりを探るため、この投稿者にインタビューすることに。
その映像に映っている投稿者の友人は、撮影した翌日に失踪してしまったという。
この時点で採用間違いなしだと思うのだが、何で不採用にしたのかは考えないでおこう。
友人について詳しく聞いてみると、路上の占い師にお札をもらい、それを家具の裏に貼って呪文を唱えると願いが叶うと言われて実行し、恋人ができたという。
後日、投稿者が友人の部屋を見に行き、手がかりを持ってきてくれたとこで肝心の映像へ。

 

投稿者が友人と恋愛相談をしていると、数十m遠くから刀のような物を持った黒い人影がゆっくりと近付いてくる。
と思ったら、わずか10秒ぐらいの隙に友人のすぐ後ろまで来ている!
また、遠目で分からなかったが、モアイのような顔がちゃんとある。
だから何でこれ不採用にしたん?単体でメイン張れるだろ。
これも不採用になった=微妙なやつという先入観でハードルを下げ、最初に遠くにいることで「確かに似てるだけで大したことないな、そりゃ不採用になるか」と油断させ、急に目の前に現れてびっくりさせるという引っかけなのかも。

 

 

 

<シリーズ監視カメラ 市街地>
   恐怖度:★
 インパクト:★★
分かりやすさ:★★★
  不気味さ:★★
 エピソード:★
市街地に設置された監視カメラの映像。
右上の横断歩道を映した映像に、スーツ姿の男性が現れ、信号無視して横断歩道を渡る。
車が接触するのだがすり抜け、トラックで見えなくなっている間にいなくなっている。
いつも通りの、安心感のある映像といったところ。

 

 

 

<ダンス>
   恐怖度:★★★
 インパクト:★★★
分かりやすさ:★★★★
  不気味さ:★★★
 エピソード:★★
夜の公園でダンスの練習をしている映像。
投稿者は振付師をしていて、振りを思いついた時とか気晴らしによく公園に行くらしい。
投稿者は事象の人物に心当たりがあるようで、昔所属してたダンスグループのマネージャー兼彼女に似ているという。
グループ解散と同時に別れたようだが、別れ際に恨まれていた他、最近自殺してしまったようだ。
また、前兆として彼女が夢に出てくるようになっていたらしい。

 

肝心の映像は、カメラを置いて振り付けを記録している最中、ブロック状のオブジェの奥から女性の生首が横たわっている。
よくある手品系だが、顔に生気を感じないためそれなりに怖い。

 

 

 

<サマーキャンプ>
   恐怖度:★
 インパクト:★
分かりやすさ:★★★
  不気味さ:★
 エピソード:★
海のサマーキャンプでオリエンテーションしている様子を撮影した映像。
波打ち際にある岩場に、白い手が伸びている。
何の捻りもないありがちな映像。
ほん呪だけでも何回かやってるよなこれ。

 

 

 

<占い師3>
   恐怖度:★★
 インパクト:★★
分かりやすさ:★★
  不気味さ:★★★★★
 エピソード:★★★★★
「占い師2」で失踪した友人の日記を見てみると、「K氏(原文ママ)」という人物についていくつか書き込まれていた。
「占い師1」のかつての担当者(カラギノ氏)とイニシャルが同じのため、何か関係があるのでは?と強引に推測したスタッフはカラギノ氏について調査をすることに。
AV会社で働く女性(女優?)にインタビューをすると、占いが得意で、お札のようなものを使用していたという。
わずかではあるが繋がってきたところで、カラギノ氏についてネット検索してみると、出身県にカラギノという地域(山と沢)があった。
って訳でそこを観光した後、地元の郷土史家にインタビューしてみると、カラギノ一族は占術師や祈祷師として繁栄していたようだ。
また、かつては若い女性を、山の神に生贄として捧げていたという。

 

面白くなってきたところだが、ここでエンドロール。
すっかり暗くなってしまったが、導かれるように再びカラギノに向かう。
昼間訪れた沢に辿り着くと急にBGMが切れ、女性の悲鳴のようなものが聞こえたところで終了・・・と見せかけて、「お気づきになられただろうか・・・」というナレーションが入り逆再生される。
道中の苔が生えた大きな岩の奥から、女性のような顔がこちらを見つめてた。
この女性はカラギノ一族の犠牲になった女性なのだろうか・・・
また、カラギノ氏と行方不明になった女性2人は未だに見つかっていない。

 

これで終了なんだけど、実はもう1つ事象がある。
上記の顔が出てきた数秒後、苔のない白くて四角い岩をよく見ると、パッチリした目がある。
ただの見逃しかもしれないが、ここまで仕込んでいるとは・・・

 

 

 

<総評>
★★★★★★★★★☆
ここ2作はちょっと落ち込んでいたが、再び勢いを取り戻している。
特に本作は分かりやすいものが多く、初心者にも楽しめるものになっている。
だが本作の真髄は、エピソードに隠された隠し事象や引っかけにある。
・「白面の女」では、分かる人には分かるショボいのを最初に見せることで油断を誘い、リプレイまだ?となったタイミングでガツンとしたものを見せるという力業で、同じ事象でもより怖く感じるようになっている。
・「占い師2」では、不採用になった=微妙なやつという先入観でハードルを下げ、さらに最初は遠くにいるだけというあまり怖くないもので油断を誘い、急に目の前に現れてびっくりさせるという多重トラップになっている。
・「占い師3」では、エンドロールかともったら突然BGMが切れ、悲鳴が聞こえるというオチ・・・と見せかけて、事象があったということで逆再生し、それを見せるという2段オチとなっている・・・と見せかけて、実はもう1つあるという3段オチで、分かる人には分かる恐怖を演出している。
初心者から見ても十分怖いが、訓練されたシリーズファンほどその真髄に気付いてしまい恐怖を感じる、児玉演出の才能が爆発したパートであると言える。

 

ところで、カラギノって結局どういう字なんだろ?
書物によると3文字っぽいけど、iOSAndroidWindowsどれで変換してもそれっぽいのが出てこない。