ほんとにあった!呪いのビデオ55レビュー

評価:★★★★★★★★☆☆
岩澤演出最終章にして劇場公開作。
ストーリーは演出過剰の極みだが、投稿映像は歴代最恐。

 

 

 

銅像
   恐怖度:★★★
 インパクト:★★★
分かりやすさ:★★★
  不気味さ:★★
 エピソード:★★
銅像がそこかしこに点在している公園で、酔っ払いの大学生共が散歩がてらに遊んでいる映像。
この映像の撮影者が突然走り去ってしまい、その約1週間後に行方不明になったようだ。
そして、投稿者にこの映像が送られ、そこに不可解な現象が起きていたという。

 

肝心の映像は、階段でグリコ・チョコレート・パイナップル(って言うらしいよ!)をしていると、子どもの銅像がある場所から成人女性がこちらに向かってくる。
撮影者はこれに気付き、カメラを逸らして再び映すと元に戻っており、投稿者らを置いて逃げるのであった。
初っ端から3/4ぐらいが黒帯になる縦画面のせいで小さいのが惜しいが、それでも掴みとしては十分なインパクト。

 

 

 

ロールシャッハ
   恐怖度:★★★
 インパクト:★★★
分かりやすさ:★★★★
  不気味さ:★★★★
 エピソード:★★★
今回のメイン1。
製作委員会を離れ修行(笑)をしていた菊池が、修行仲間(熊井さん)を紹介してきた。
熊井さんは大学生で、所属しているサークルでは、ある映像を見るしきたりがあるようだ。
その映像は10年前ぐらいにある廃墟で撮影されたものなのだが、ロールシャッハのようなサイケ映像が記録されているという。
その中に自分の顔を見た部員が後日亡くなり、その部員の顔が他の部員にも見えるようになったことから、自分の顔が見えたら不幸な目に遭うというジンクスが生まれたようだ。
そして、今年の夏に入りその顔がボコボコと増えたようで、それにビビった熊井さんは滝行(笑)を行い、菊池に出会ったとか。
という訳で、菊池も独自に調べる(実質復帰する)ことになったところで肝心の映像。

 

牛舎の廃墟みたいな場所を撮影し、カメラを下ろした辺りから映像が乱れ、ロールシャッハのようなサイケ映像が延々と続く。
前半は謎の声が聞こえる他、女性と思われるシルエットが数回映る。
後半は叫んでいるような顔が8人分現れており、いずれも歪んでいる。
霊能者によると、熊井さんに害は及ばないが、よくないことが起きる前兆だとか。
男性陣より女性陣の方が不気味に見えるな、男性陣頑張れ。
これ単体でも結構不気味だが、特に前半部分は伏線にもなっている重要なエピソード。

 

 

 

<シリーズ監視カメラ 窓の外>
   恐怖度:★★
 インパクト:★★
分かりやすさ:★★★
  不気味さ:★★
 エピソード:★★★
ロールシャッハについて、川居が霊能者に鑑定してもらった結果を報告中、井ノ上が「出ました・・・」と言って割り込んでくるところから始まる。
またスタッフルーム周辺で霊現象が起きているようで、窓の外から「シネ」という女の声が聞こえたとか。
川居も10日前ぐらいから、窓の辺りでラップ音が聞こえることがあるようで、オーブのようなものを見たこともあるという。
スタッフルームは3階で、窓の外は隣のビルに隣接しているため、そこに人がいることはり得ない。
という訳で、窓付近に監視カメラを設置することにした。

 

撮影4日目、川居が鍵を閉めて帰宅した後、深夜2時過ぎに窓の方から何かを叩く音が聞こえる。
そしてその3分後、窓を叩く手が現れ、ゆっくりずれ落ちる。
また、うっすらとだが女性の顔のような人影も映っている。

 

場面代わって岩澤がビルの入り口まで行ってみると、スタッフ3人が隣のカレー屋で働いているバングラディシュ人に話しかけられている。
何を喋っているか分からないが英語は喋れるようで、阿草が帰国子女で英語が堪能という意外な特技を披露し、話を聞いてみることに。
3日ぐらい前にビルの隙間に発光している謎の女性がいて、突然消えたという(筆者は英語喋れないけど、通訳なくても分かったぞ)。
という訳で阿草以外のガリガリ3人で女がいた場所(窓の真下)に行き、ボロボロで一部が溶けているデジカメを見つけたところで次へ。

 

 

 

<悪戯電話>
   恐怖度:★★
 インパクト:★★
分かりやすさ:★★★
  不気味さ:★★
 エピソード:中二病(★)
今回のメイン2。
悪戯電話に悩まされている投稿者(柿崎さん)が、証拠のために記録した映像。
親との通話用の回線だが、彼氏(松本)がいない時に限って、謎の女の声が聞こえる電話がかかってくるという。
また、電話機の録音機能ではノイズしか記録されないようだ。
そして、投稿映像の電話がかかってきた時に彼氏から電話が来て(松本曰く胸騒ぎがした)、その着信音が電話越しにも聞こえるという不可解な現象が起きていたようで、それ以降悪戯電話は来なくなったが、松本の様子がおかしくなったという。

 

という訳でアパートに行っていることに。
松本に投稿映像のことを聞いてみるが何も答えない。
その後も質問を続け、柿崎さんがまるで浮気を疑っているような尋問をし、それに岩澤が乗っかると急にキレ始める。
「人のネタでメシ食うゴミクズ」だの
「これ見てる視聴者も一緒でしょ結局」だの
「お前らなんか・・・呪われて死んでしまえばいいんだよ」だのとマスコミ批判みたいなクサいことを言い、とうとう手を出してきたためこの場を後にすることにした。
○○○○とは別の意味で不快だなこいつ。中二病かよ。

 

ここで肝心の映像。
悪戯電話をつまんなそうに聞いていると、突然着信が入る。
柿崎さんはこれに出ようとするが、電話機からもこの音が鳴っていることに気付き、恐る恐る周囲を見渡し、部屋を後にする。
録画は続いており、柿崎さんが開けたドアの奥に電話機を見つめる女がいて、姿を消す。
悪くはないが、松本の中二病に全部持って行かれた感じ。

 

 

 

<タイムラプス>
   恐怖度:★★★
 インパクト:★★★★★
分かりやすさ:★★★★
  不気味さ:★★
 エピソード:★★★★
一眼レフカメラを購入した投稿者が、深夜の公園で夜空をタイムラプス撮影した映像。
画面右下に女性が現れ、しばらくの間ゆらゆらしながら映り続けている。
しばらくして消えたと思ったら、今度はカメラにどんどん近付き、また消える。
約3時間の映像を約1分間に圧縮されているため、この女は約1時間映り続けていたことになる。
投稿者は撮影中、カメラが見える車内で仮眠を取り、時々チェックしており、その際に異常はなかったという。
また、投稿者はこの帰り道で、車が半壊し自身も骨折する事故に見舞われたようだ。

 

何気に本作で2番目に好き。
映像の斬新さもだけど、一度消えたかと思ったら今度はどんどん近づいてくる所がインパクトあって、派手なのばかりの本作でも十分な存在感を持っている。

 

多分だけど、この辺りで「今回の投稿映像、全部同じ女じゃね?」ってなると思う。

 

 

 

<誰がいなくなった?>
   恐怖度:★★★★
 インパクト:★★★★★
分かりやすさ:★★★★★
  不気味さ:★★★★
 エピソード:★★★
今回のメイン3。
松本について調査をすると、バイト先の友人(投稿者の桜井さんともう1人)と肝試ししたという。
松本は昔、交通事故で死にかけ、それ以来霊感体質になっているようで、面白がって連れて行ったとか。
で、偶然見つけた廃墟で松本が消え、ちょっとして見つけた時には発狂していたようだ。
ちなみに、廃墟に行った日から悪戯電話がかかるようになっていた。
また、松本が消えてから見つけるまでの間に時空の歪みが発生していたようで、松本が持っていたビデオには、はぐれてから見つけるまでの間に30分以上の真っ暗な映像があった他、桜井さんには松本からLINEが連投されており、未来の時間から来ている上、後半は文字化けしていた。

 

スタッフルームに戻り、当然のように復帰している菊池から、ロールシャッハの出処についての報告。
ロールシャッハの撮影者は撮影後暴れて気絶し、後に体調と精神を病んで退学、今年に入って自殺したとか。
で、菊池が調査結果を報告中、ロッカーの上にあった段ボール他が菊池に向かって落下する!
だが菊池は滝行(笑)で精神を鍛えた成果なのか、全く動じない。
ちなみに、コピー機霊障により壊れちゃったとか。
松本が発狂した廃墟とロールシャッハの廃墟と同じだということに気付いた一同は、そこに向かうことに。

 

という訳で廃墟前まできた岩澤、菊池、阿草、桜井さんの4人は、まず聞き込みをすることに。
その牛舎は夫と子を亡くした妻が経営していたが、潰れてしまったという。
それぐらいしか情報がなかったため、とりあえず廃墟探索開始。
それぞれの現場を見つけることはできたが特に収穫はなく、ここを離れようとしたら「オイ、ここで何やっとんねん」とスタッフのことを聞きつけた地元住民がやってきた!
これはピンチwwwまた岩澤がしばかれるのかwwwと思ったら、意外にも気さくな様子。
廃墟で何が起きたかを言い渋っているが、タバコを欲しがっているのであげたら上機嫌になり、教えてもらえることとなった(笑)
牛舎の近くに経営者家族の家があったが、その娘が失恋を苦に焼身自殺したという。
しかもその様子を、元カレに電話しながら撮影までしていたようで、その映像を見ると呪われて死ぬと言われているようだ。
このオッサンが知っているのはこれぐらいのため、もっと詳しい人に連絡を取ってもらう・・・前に、タバコおかわり(笑)
桜井さんが持っていたため献上し、電話してもらった。
まぁそこで得た情報は、その元カレが死んだことぐらいで、大して得るものはなかった。

 

満を辞して肝心の映像。
桜井さんが松本にカメラを渡し、廃墟を探索している様子が記録されている。
松本に先を行かせ、桜井さんともう1人の友人が話していると、その声が突然聞こえなくなり、後ろを向くと誰もいなくなっている。
何かの気配(謎の音が聞こえる)に気付き、後ろを振り返るとチェック柄の服が見え、カメラを上げると顔が真っ黒で目が見開いている女がいて、松本は恐怖により転倒する。
映像は真っ黒なままノイズ音(柿崎さんの投稿映像で聞こえたのと同じ)だけが約30分間記録されており、桜井さんらが駆けつけると映像が復帰し、発狂している松本を捉えていた。

 

怖いよ、確かに怖いよ。
でも、カメラワークがFPS過ぎて好きじゃない。
特に、チェック柄の服が見えてからカメラを上げるまでに3秒ぐらいの間がある訳だけど、その間ずっとビデオカメラのモニターだけ見てたの?
普通先に肉眼で見たりとかしない?
あと、時空の歪みが正直余計で、エピソード的にほぼ意味ないし、黒い女を見て即発狂したにしてはLINEの文章がまとも過ぎない?

 

スタッフルームに戻り、松本について調査を続けると、松本が巻き込まれた交通事故の記事を見つけた。
その記事によると、松本以外の家族は全員亡くなったようで、柿崎さんに聞いてみると事故のことは知っているが、その詳細は聞いたことがないという。
柿崎さんに事故の件についてそれとなく聞いてもらうことになったのだが・・・

 

 

 

<飛ぶカメラ>
   恐怖度:★★★★★
 インパクト:★★★★★
分かりやすさ:★★★★
  不気味さ:★★★★★
 エピソード:★★★★
仕事先の同僚と女子会でタコパしている映像。
酒も回って盛り上がっていると、カメラが飛んだように手元を離れ、ハンガーラックの下に転がる。
そこにはよく分からないものがドアップに映っているが、撮影者がカメラを取り、引きの絵になると、それが横たわる女の顔(たぶん生首)であることが分かる。

 

これは素晴らしく、本作で1番好き。
最初は何が何だかよく分からないけど、それが引きの絵になると女の顔って分かるという斬新さもいいし、よく見ると女はわずかに動いていて、目が動くのがかなり不気味。
ってか左目どうなってるんだよこれ、全然違うところ見てるじゃないか。
最初は恐怖度★4で考えてたけど、★5に格上げした。
マツコの番組で紹介され、マツコと心霊研究家?にも褒められた名エピソード。

 

 

 

<悪人>
   恐怖度:★★★
 インパクト:★★★★★
分かりやすさ:★★★★
  不気味さ:★★★★
 エピソード:中二病(★★)
今回のメイン4。
松本が行方不明になったようで、柿崎さんの家に行くことに。
やはり事故のことを聞いたのが引き金になったらしく、ケンカの末、次の日にはパソコンと貴重品を持っていなくなってしまったようだ。
意外にも合鍵を郵便受けに入れておくマメさで、根はそこまで悪い奴ではなさそう・・・中二病だけど。
泣いている柿崎さんをよそに松本の部屋を漁ってみると、例の事故に関するスレッドのコピーと7人の個人情報(某掲示板から流出したやつ)を発見する。

 

スレの書き込みには松本の家族を批判しているものがあり、その書き込みをした人物の個人情報を入手していたようだ。
更に、その中には「銅像」の撮影者、「タイムラプス」の投稿者、「飛ぶカメラ」の投稿者の名があり、「銅像」の撮影者は失踪、「タイムラプス」の投稿者は交通事故に遭い骨折、「飛ぶカメラ」の投稿者は脳梗塞で入院し、今も危険な状態だという。
他の4人については流出したことで解約したのか、電話は繋がらなかった。
だが、「ロールシャッハ」に追加された顔は7人であり、松本はこの7人に復讐し、その苦痛に歪む顔が追加されたのだろうか・・・

 

後日、井ノ上がコンビニ帰りに封筒を見つけた。
中身は「悪人は俺か それとも他人か」という中二病全開の書き置きとメモリースティックで、その筆跡は松本と同じだった。
ってか井ノ上は松本と思われる男が去っていくのを目撃しており、岩澤が「お前それ早く言えっつうの!」と説教し追跡開始!
とうとう後ろ姿を捉えたが、松本は地下鉄に逃げ込む!!
寸前のところまで追い詰めたがドアは閉まってしまい、松本を取り逃すのであった。
最後に岩澤が「井ノ上お前腹減ってないか?飯食いに行くか」とデレ、この茶番劇は幕を閉じるのであった。
ちなみに、このくだりは渋谷の劇場で限定公開されていたことに起因するようで、やっぱり茶番だな。

 

後日、松本が発狂している場面をよく見るとデジカメを持っており、桜井さんによると廃墟で拾っていたようで、ビルの間に捨てられていたのと同じだった。
メモリースティックは抜かれていたが、封筒の中にあったのがそれで、7人を復讐するのに使った映像が入っているのだろうか・・・
井ノ上は今回の一件の前にもビルの前に立っている不審な人物を見ていたようで、今思うと松本だったのだはないかとのこと。

 

ここでスタッフの推論。
松本は当初、自身の心霊体験やデジカメの映像について、製作委員会に相談したかったのではないか。
だが情報流出事件を機に、自身の家族を批判した奴らに復讐を行ったのではないか。
ついには製作委員会が警告映像と称して拡散してくれるだろうから、テレビを通して自身をバカにする(筆者のような)視聴者共にも制裁を加えようとしているのではないか・・・
いいだろう、受けて立ってやる!!!

 

という訳でその警告映像。
もちろん、例の女が焼身自殺する瞬間を捉えたもの。
何かよく分からないことを言った後、「死ねよ」と繰り返し言いながらポリタンクを持ってきて、自身にぶっかける!
照明を落とし、狂ったように笑いながらマッチに火をつける!!
そして、泣き笑いながらマッチを落とし、炎に包まれていく!!!
「死んじゃえぇぇぇ!!!」という奇声に包まれながら、「ロールシャッハ」と同じようなサイケな映像が流れ、それが終わるとまだ火が残っている中、画面左上から覗き込むような謎の人物が現れ、映像が途切れる。
これはとにかく女のヤバさに尽きる。
よく見るとマッチを落としてから微動だにしなくなるが、それを考慮しても焼身自殺中の奇声は迫真どころではなく、ビビらせ目的の爆音とはレベルが違う。
最後の顔はどうでもいい。

 

 

 

<総評>
★★★★★★★★☆☆
投稿映像のクオリティーは、全て同じ女という演出上のハンデがありながらも、最高傑作のパート51と同等以上。
特に今回は、「タイムラプス」や「飛ぶカメラ」など、こう来たかと唸る斬新なものもあってよかった。
反面、ストーリーに関しては演出過剰の極みで評価が難しい。
モキュメンタリーと割り切れればいいが、ほん呪の持ち味である「リアル」と「フィクション」の絶妙なバランスが完全に崩壊しており、それが気になると怖さが半減してしまう。

 

あと、今回の首謀者である松本は色々とひどい。
中二病的な痛々しさもだけど、こいつの言動はいかにも「伏線」に囚われている感じで、考察は好きだけど伏線は好きじゃない筆者としては悪い見本にしか見えなかった(分かるかな?この感覚)。
特に、視聴者にも訴えかけるような言い回しや、カギとなるメモを残していた点、わざと追われるように封筒を送り付けた点については、岩澤演出の悪いところが集約されていると思う。

 

色々とあったが、これで岩澤演出はラスト。
演出として14作、演出補時代も含めれば8年間もの間、シリーズを盛り上げてくださってありがとうございます。