ほんとにあった!呪いのビデオ68レビュー

評価:★★★★★★★☆☆☆
3部作「禁忌」編の中編で、物語が大きく進む。
突出した投稿映像はないが、全体的にバランスが取れている。

 

 

 

<置き傘>
   恐怖度:★★
 インパクト:★★
分かりやすさ:★★★★
  不気味さ:★★
 エピソード:★★
カップルがデートの帰りに公園で撮影した映像。
撮影前に雨が降っていたようで、彼氏がバイト先で半年以上放置された置き傘をパクり、彼女に持たせている。
再び雨が降りだしたため、彼女が傘を独占しイチャイチャしていると、血のようなものが彼女にかかる。
それを気味悪がっていると、傘一面に巨大な女の顔が貼り付いており、彼氏がビビって逃げたところでリプレイになる。
この傘の持ち主は、放置されたのとほぼ同時期に車に撥ねられ亡くなったとか。

 

傘をパクった件については、半年以上放置だとバックヤードにあって廃棄寸前だっただろうから、目をつむっておく。
似たようなシチュエーションとしてはパート56の「手鏡」があったけど、あっちの方がレベル高いな。
相変わらずビビってハイ終わりじゃダメだって。
あと、岩澤演出期から何度か指摘してるけど、ここ数作は投稿映像の背景をナレーションが喋りすぎ。
想像が掻き立てられないし、製作委員会の情報収集力どうなってるんだよってツッコミたくなる。

 

 

 

<花束>
   恐怖度:★★
 インパクト:★★
分かりやすさ:★★
  不気味さ:★★★★
 エピソード:★★★
娘と公園に行き、遊んでいる様子を撮影した映像。
遊んでいると娘が階段の奥まで行ってしまい、追いかけると萎れた花を持っており、どこにあったのか聞いたところ、お供物の花を取っていた。
すぐに戻させ、しばらく遊んでいるとまた花を持っていたが、近くに落ちていたとか。
スタッフが近隣住民に聞き込みを行ったところ、60年前はまだ公園ではなく廃屋が立っており、そこに傷痍軍人が住み着いていたようだ。
そして、ある朝その軍人が苦しんでいたが誰も手を差し伸べず、そのまま亡くなったという。
その後公園となったが、子どもの事故が相次いだため、祟りによるものかもと危惧した近隣住民がお供え物をするようになったようだ。

 

肝心の映像は、上記の通りお供物の花を持っており、それを戻させた後離れたところで遊んでいると、また花を持っている。
花を持った手に別の手のようなものが映っている他、娘の背後に左腕が欠損しているように見える軍人らしき男が映っている。
「お分かりいただけたと思う」だけど、どちらも分かりにくい。
特に軍人は手品系だし、背景に半分同化している。
まぁ投稿映像の背景とかは良かったと思うから、総合的には悪くない。

 

 

 

<ホテル>
   恐怖度:★★
 インパクト:★★
分かりやすさ:★★
  不気味さ:★★★
 エピソード:★★
友人と旅行ついでに立ち寄った廃ホテルを探索している映像。
途中、話し声のようなものが聞こえたようだが、多分記録はされていない。
バーのような部屋を見つけ、そこを見て回っていると、友人の背後に仰向けに倒れた女性のような人が映っている。
この日の夜寝ていると、足元に重みを感じ、何者かが乗っている感覚があったとか。
このさりげなさが初期っぽくて、意外と悪くない。

 

 

 

<禁忌 中編>
   恐怖度:★
 インパクト:★★
分かりやすさ:★★
  不気味さ:★★
 エピソード:★★★★
3部作の中編で、前回のあらすじはこんな感じ。

  • 投稿者らが八幡さんという友人の家でチーズフォンデュしていると、呪術的な声とドアの隙間から男のようなものが現れた。
  • それ以来八幡さんは隙間恐怖症になり、引きこもりのような状態となった。
  • 近隣住民によると、自称婚約者が八幡さんの家の前にいたことがあったが、八幡さんにそのような人物はいない。
  • 大学の先輩(石川)によると、下村さんという写真家が○女っぽい子の写真を欲しがっており、八幡さんがピッタリだと思って勝手に渡したとか・・・お前呪われろ。
  • 石川のせいで、八幡さんはとうとう自殺未遂をしてしまった。

 

調査に行き詰まっていたが、阿草が似た事象の投稿映像を見つける・・・よくある展開だけど、下村さんを問い詰めれば良くね?
その映像はボツになっていたが、事象も声もよく似ており、さらに映像に映る女性(周さん)はストーカーの気配を感じたり、その後亡くなってしまったという。
さらに言うと、撮影場所はあの万里の長城!何でコレ採用しなかった!?

 

という訳で投稿者に話を聞くと、周さんは近所の工場で起きた火事によって亡くなったようだが、そこで働いていなかったのでどこか不審だという。
また、周さんはストーカー被害にあっており、盗聴器が仕掛けられたり無言電話をかけられるなどしていたようだ。
極めつきは、葬式後遺体を盗まれたようで、まだ見つかっていないという・・・だから何でコレ採用しなかった!!?

 

周さんについて調査するのだが・・・ここで再び阿草の特技:英語が活躍!
周さんを付きまとっていたのは同僚の男性だったが、自宅の火災で亡くなったという。
この一連の出来事について、中国の風習である冥婚が関係しているのではと阿草が気付く。
冥婚とは、未婚のまま若くして亡くなった男女を、死後の世界で結婚させて弔う儀式であり、中には冥婚の為に遺体の売買や窃盗まで行われているという。
さらに、冥婚は死因が同じであることが理想であるため、周さんは冥婚の為に殺害されたのだろうか・・・

 

ここで肝心の映像。
周さんらが万里の長城を観光している様子が記録されている。
周さんの友人が自撮り棒を使って回りながら撮影していると、謎の声と共に映像にノイズが入り、周さんの背後に男の顔が映る。
エピソード的には何でこれ採用しなかった!?って感じだったけど、確かに事象は弱いから不採用だったのも納得。
でも、今回の3部作に結びつけるよりも、単体のエピソードの方が良かったのではと思う。

 

最後に、下村さんを問い詰めることに決定したところで次へ。

 

 

 

<クリスマス>
   恐怖度:★★
 インパクト:★★
分かりやすさ:★★★
  不気味さ:★★
 エピソード:★★★
1990年のクリスマスに撮影されたホームビデオ。
その中に女の子の霊が映っていて、その子は弟の友達だった美代ちゃんではないかという。
美代ちゃんは保育園に入る前に亡くなってしまったらしいが、弟は保育園で遊んでいたと言っており矛盾している。
また、弟は現在、美代ちゃんのことをほとんど覚えていなかった。
美代ちゃんについてスタッフが調査をしたところ、実の母はすでに亡くなっていて後妻に育てられていたが、今で言うネグレクトにより衰弱死していた。

 

ここで肝心の映像。
息子をズームで撮影した後カメラを引くと、ベランダの窓の右上に女性の顔が映っている。
また、隣の部屋に美代ちゃんと思われる少女が立っており、うつむいた表情をしている。
美代ちゃんデカくね?3歳で亡くなってるはずなんだけど、6~7歳ぐらいに見える。
霊界でも成長するという貴重なサンプルかも。

 

 

 

<シリーズ監視カメラ 灯台
   恐怖度:★★★
 インパクト:★★★
分かりやすさ:★★★
  不気味さ:★★
 エピソード:★★★
観光地の海岸に設置されたライブカメラの映像。
灯台のある小島のような場所を映しているこの映像にノイズが入り、その中に頭骸骨のようなものが映る他、沈没船のようなものが浮かび上がり、再び沈む。
そんな深度があるように見えないが、荒れやすい海域だという。
昔見た記憶で、船のことは覚えてたけど、ノイズと頭蓋骨は覚えてなかったから不意打ちくらった。
何気に無機物の霊が現れたのは初だと思うけど、見えてないだけで、海に沈んだ乗組員ごと現れたんじゃないかと思う。

 

 

 

<洗車機>
   恐怖度:★★
 インパクト:★★★
分かりやすさ:★★★★
  不気味さ:★★
 エピソード:★★★
愛車を自動洗車機にかける様子を撮影した映像。
息子は初体験で、超テンション高くて微笑ましい。
そんな息子やブラシを交互に撮影していると、モノクロの女の子が四つん這いのような格好で息子を見つめている。
この車は格安で購入した中古車であり、おまけでチャイルドシートが付いてきたとか。

 

この女の子が、映っていない部分でどんな姿勢しているのか気になる。
にしても、この女の子もチャイルドシート使うほど幼くないでしょ。
チャイルドシート使っていない息子よりどう見ても大きいし、この子も霊になってから成長したとか?
とは言え、含みを持たせる程度の補足情報でいい塩梅だと思う。

 

 

 

<続・禁忌 中編>
   恐怖度:★★★
 インパクト:★★★★★
分かりやすさ:★★★★
  不気味さ:★★★★★
 エピソード:★★★★
下村さんがよく使用している写真スタジオで張り込みをすることに。
だがその日使用しているかも分からず、50分経っても現れなかったので諦めかけていたら、下村さんが現れた!
という訳で、まずは阿草が単独で取材交渉を行うが、八幡さんの件になるとシラを切り始める。
だが、八幡さんが自殺未遂をしたことを知って動揺し、話を聞くことができた。

 

依頼者は平塚和弘と言い、婚礼写真の合成をいい値段で依頼してきたという。
男性の方は和弘から渡されたが、女性の方は例の条件に合う人を探してほしいと言われたようだ。
で、下村さんが選んだ子は○女っぽくないと言われ、石川推薦の八幡さんが選ばれたという経緯だった。
ちなみに、選ばれなかった方の女性も事故により入院しているという。
そして、男性の写真は妙に無表情で、どこか不気味に感じたようだ。

 

この話を聞いて、阿草がムカサリ絵馬に似ていることに気付く。
そこでムカサリ絵馬について研究家に話を聞いたところ、未婚のまま亡くなった若者を、写真や絵に残すことで供養する冥婚の一種で、ムカサリは山形の方言で婚礼を意味するという。
本来は架空の人物を結婚相手に仕立てるものなのだが、実在の人物、ましてや生きている人間を相手にすることはタブーであり、同じような死に方であの世に引き込まれると言われているようだ。
また、知り合いにそのような儀式の資料を持っている人がいるようで、資料をもらう約束をした。

 

後日、下村さんから男性の写真が届いた。
モザイク越しだが、確かに生気を感じないような不気味さがある。
また、研究家の知り合いからムカサリ絵馬に関する資料が届けられた。
その中にはDVDがあり、冥婚に関する映像資料となっているが、生きている人間を相手にした映像もあるという。

 

という訳でその映像。
タブーに触れた内容 or 遺体が映っているため、警告付きとなっている。
新婦は生きているが、新郎はおそらく遺体で、箱のようなものにもたれかかっている。
喪服を着た女性が進行役で、盃を交わさせたり、先祖の遺影?の前で礼をさせたりする。
次に祝詞を読み上げ始めた辺りから、泣き叫ぶような声と4人ぐらいの人影が現れ、新婦は気を失ったように倒れてしまう。
だが女性はお構いなしに祝詞を読み上げ続け、その間に事象が何度も現れる。
新婦はこの約1年後、発狂し亡くなったようだ。
心霊現象自体は割とどうでもいいけど、生きている人間を相手にした冥婚というタブーを扱っている点や、新婦が気を失っても祝詞を読み上げ続ける点など、映像自体に狂気が凝縮されており不気味。
呪いは罪に問えないけど、やってることは自殺教唆とか時間差の殺人に当たるんじゃないかと思う。

 

また、個人的には投稿映像のノイズにも注目している。
作中描写より投稿映像はDVDだが、画質からすると磁気テープ系のメディアで撮られたものをダビングしたと思われる。
その場合、磁気テープの映像領域は4:3なので、磁気テープ由来のノイズであれば両端は黒帯になるはずだが、今回の映像ではノイズが両端にまで達しているので、DVD由来のノイズと思われる。
また、何度か止まったり早送りのような挙動をするのも、どちらかと言うとDVD由来のノイズっぽいため、DVDの劣化によって偶然できた現象じゃないかと思う。

 

次回、ムカサリ絵馬の依頼者や、男性の正体について真相に迫る!!!

 

 

 

<総評>
★★★★★★★☆☆☆
投稿映像に関しては、菊池演出後期の平均と言ったところ。
序盤は相変わらずツメの甘さが目立つが、少しづつ調子を戻していて、全体的には悪くなかった。

今回の3部作は物語が大きく進み、投稿映像やストーリーに菊池演出得意の狂気が垣間見えた。
次回は依頼者との直接対決になることが予想できるため、過去最恐の展開が期待できる。
一方で、前半で挙がった中国の冥婚の話は、この3部作に盛り込まなくても良かったと思う。
そっちはそっちでメインにできるポテンシャルがあったし、下川さんの話だけでもムカサリ絵馬に辿り着いただろうから、これをカットして1時間前後ぐらいに抑えて欲しかった。
菊池演出期は楽しんでレビューを書いているけど、さすがに尺そのものが長すぎる。