ほんとにあった!呪いのビデオ71レビュー

評価:★★★★★★★☆☆☆
福田演出が寺内演出とタッグを組んで戻ってきた。
児玉演出から続いた流れを大きく変更し、マンネリ打破に成功した。

 

 

 

<タクシー>
   恐怖度:★★
 インパクト:★★★
分かりやすさ:★★★
  不気味さ:★★
 エピソード:★★★
タクシーの車内を映したドライブレコーダーの映像。
このドライブレコーダーは常時録画をしており、急ブレーキや衝突などの衝撃を検知した場合のみ、その前後を上書きされないように保存するという仕組みだが、身に覚えのない映像が保存されていたという。
深夜1時過ぎに高架下の道路に入ると、後部座席の真ん中に女性のような人影が現れる。
この時、投稿者は左側の髪の毛が逆立つような寒気がしたという。

 

立体感のない初期みたいな映像だが、よく見ると女の顔がしっかり確認でき、交通事故で傷つけられたような造形をしている。
また、霊の出現に合わせてBGMが流れるのは今までになく、作風が変わった感がある。
ところで、ドライブレコーダーはシリーズ監視カメラに入るか、製作委員会と討論したい。

 

 

 

<シルエット>
   恐怖度:★
 インパクト:★★
分かりやすさ:★★
  不気味さ:★★★
 エピソード:★
カップルが深夜の住宅街を歩いている映像(リプレイ前の映像が見れなくなってて、詳細が分からなくてすまない)。
彼女が建設中と思われるビルの屋上に子どものような人影を見つけ、落ちてしまわないかと不安がる。
しばらく映していると不安が的中し、飛び降りたところでカメラを逸らす。
その瞬間、投稿者の目の前に少年のような人影があり、さらにその直後、彼女が何かに怯えて伏せると、その奥に少年のような足元が映っている。
これにより、彼女のうつ病が急激に悪化してしまったとか。

 

正直、短時間で色々なことが起こり過ぎている感じがする。
目の前に現れた子どもと、彼女が塞ぎ込む&子どもの足元は、どちらかだけの方が良かった。
それ以前の問題として、飛び降りのクオリティーが低い!!!
「そもそも子供に見えるか?鉄筋と大差ないぐらい細いじゃん」って感じだし、「重力加速度を知らんのか」と言いたいぐらい落下速度が合ってなくて、そう言えば福田演出は前科(パート21「文化祭の噂」)があったことを思い出した。

 

 

 

<シリーズ監視カメラ 老人>
   恐怖度:★
 インパクト:★★
分かりやすさ:★★★
  不気味さ:★★
 エピソード:★★★
ある一般家庭に設置された監視カメラの映像。
かなり古い家なのか、全体的に埃っぽく、天井付近にクモの巣みたいなのが見える。
どこからともなく何かを叩く音が聞こえ、画面左上の映像に映る1冊の本が動いた後、ダンボールがひとりでに落ちる。
すると家主と思われる老人が部屋を確認しに行き、物音が聞こえ、怯えたようにこの場を後にする。

 

色々と不可解な点が多いので、投稿者に話を聞くことにした。
投稿者は解体業をやっていて、現場の一般家庭に業務用の監視カメラが3台もあり気になったので、大家の許可を得てテープを持ち帰ったという。
住民は失踪したようで、後日、あの家の下から人や動物の骨が見つかったという。
また、この映像に映るもう1つの事象を教えてくれた。

 

という訳でその場面。
家主はポルターガイストが起きた部屋を出た後、画面左下の部屋に移動する。
襖を開けて奥の部屋に入った直後、部屋の中央に女性のような人影が少しずつ浮かび上がり、家主が入った部屋へと襖をすり抜けて入っていく。
なんか手足が消えたり映ったりしているのが気になる。存在が不安定な現れか?
また、この家主は霊に異常に怯えていたようで、夜トイレに行けず、寝室でしていたと思われる痕跡があったようだ。

 

このエピソードはまだ続き、この家に行ってみることにした。
家は既に建て直され、売りに出されているようだが・・・ここで終了かい!

 

 

 

<瑕疵 前編>
   恐怖度:★★
 インパクト:★★★
分かりやすさ:★★★
  不気味さ:★★
 エピソード:★★★
今回のメイン。
16年前に撮影されたホームムービー。
この映像に映る子供が投稿者(仁さん)で、グレーの服の女性が母親の妹、グリーンの服の女性が母親(里美さん)、撮影者は妹の夫。
映像が撮影された年の8月に里美さんが突然死し、父親はいなかったので妹夫婦に引き取られたという。
アパートに引っ越したのもこの年で、仁さんはそこで心霊体験をしていたようだ。

 

という訳で早速、肝心の映像。
映像は普通だが音声がやたら劣化しており、全体的にこもっているしノイズも乗っている。
飲み物を取りに行った妹の方にカメラを向けると、部屋の隅に真っ黒な人影が映っている。
その顔は輪郭が所々無くなっている感じで、足元は丸くなっていて宙に浮いている。
顔デカ過ぎだろと思うが、このアパートで体験した心霊現象や、里美さんの突然死と関係あるのだろうか・・・

 

まずはアパートについて調査することに。
アパートは既に建て直されており、不動産屋に聞き込みを行ったところ、Aさん(原文ママ)から話を聞くことができた。
そう言えば、今まで本名か仮名で、Aさんとかなるのは珍しいな。
それはともかく、あのアパートは瑕疵物件ではなく、霊が出る噂もないという。
川居が事故物件と言ったことで不動産屋の血が騒いだのか、事故物件ではなく瑕疵物件であると力説するAさん。
ちなみに、里美さんは搬送先の病院で死亡が確認されたため、瑕疵物件にはならなかったようだ。

 

アテが外れたので、今度は妹に話を聞くことに。
仁さんは不倫相手との間にできた子で、そのことで父親に勘当され、女手1つで昼も夜も働きながら愛情を持って育てていたようだ。
姉の仕事先や交友関係はほとんど知らなかったが、香典を郵送した人物(Bさん)がいた。
里美さんとBさんは「人生が良くなるセミナー」という怪しさ全開のセミナーで知り合ったとのこと。
後日、Bさんに会いに行ったところで次へ。

 

 

 

<停電>
   恐怖度:★★
 インパクト:★★★★
分かりやすさ:★★
  不気味さ:★★
 エピソード:★★★
娘の誕生日祝いを記録したホームビデオ。
ケーキを食べているとバチッという音が何回か響き、父親が「おっ!」と言った直後に停電になる。
父親がブレーカーを戻して照明が復活し、父親が戻ってくると、
その背後にHUNTER×HUNTERのゴンさんみたいな人影がいて、撮影者が見てはいけないものを見た感じで怯える。
この翌日、母親の全身に原因不明のミミズ腫れが浮かび上がったとか。
シチュエーションはともかく、幽霊さんの造形で笑っちゃうエピソード。

 

 

 

<かくれんぼ>
   恐怖度:★
 インパクト:★★★★★
分かりやすさ:★★★
  不気味さ:★
 エピソード:★★★★★
祖母の7回忌で親族一同が集まり、家の庭で子供たちと母親がかくれんぼをしている映像。
撮影者が鬼役となり、「もういいよ」と女の子1人分の声が聞こえたので振り返ると、かくれんぼに参加していない親たちもいなくなっている。
だが実際にはいたようで、撮影者が勝手に探し始めたように見えていたという。
不思議に思いながらも子供たちを探していると、まずはこちらを覗き込む女の子の姿が見えて追いかける。
次に物置に走っていく姿が見え、その付近を探していると、立てかけてあるよしずの穴から覗き込む顔が見えるが、めくってみると誰もいない。
不思議そうにしている間に子供達の声が聞こえ始め、逆鬼ごっこみたいな状態となり、「なんでいいよって言ってないのに勝手に行っちゃったの?」と言われたところでリプレイとなる。

 

今後のほん呪でたびたび登場する、不思議な体験系の投稿映像。
よしずの隙間から見える顔はズームするとビクッとなったが、悪い子ではなさそうだったので恐怖度と不気味さを下げといた。
この時、勝手に始めてたと言っていた親たちが話しかけてたり、物理的に通り道を塞いでいたらどうなっていたんだろう?
ってか、その要素が余計に感じた。

 

 

 

<瑕疵 後編>
   恐怖度:★★★
 インパクト:★★★★★
分かりやすさ:★★★
  不気味さ:★★★★
 エピソード:★★★★★
Bさんへのインタビューから始まる。
そのセミナーでは、スピリチュアルな商品の販売やカウンセリングなどを行っていたという。
里美さんについては、女手1つで育てていた苦労や、当時付き合っていた男からDVを受けていたようで、かなり入れ込んでいたようだ。
また、このセミナーはやっぱり詐欺集団だったようで、代表ら5人が詐欺と特定商取引法違反で逮捕されるという末路だった。
里美さんは、私生活での苦労と心の支えだったセミナーが詐欺団体だったことのショックが重なり、突然死してしまったのだろうか・・・

 

今度はセミナー関係者のCさんに話を聞くことに。
Cさんは最初に組織の健全アピールとしているが、余計やましいと言うか、だから詐欺団体だったんだなって感じ。
まぁだんだん過激化していったといういつものオチで、それが嫌で辞めたようだが、末期のことを教えてくれた。
これまた良くある、罵声を浴びせて精神的に追い込む→優しく声がけして依存させるという手法を新人演出補の寒川(通称寒ちゃん)に実演・・・川居が終始白い目で見てて草。
大抵の信者はこれでどうにかなっていたが、それでもダメなレベルの人には、その原因となるような人物を呪い殺す儀式を行っていたようで、里美さんは積極的に参加していたようだ。
最後に、儀式を盗撮した映像があるという噂があり、入手したら提供すると約束をもらった。

 

仁さんにこのことを報告したところ、母親がそんなことをしているとを知らなかったので戸惑っていたが、真相を知りたいとのことで、儀式が行われていた廃墟へCさんと共に行くことにした。
車中の会話では、呪いたい相手の所持品を持ってきて、それを儀式に使用していたという話と、里美さんが家では化粧などによって誤魔化していたが、顔にアザがあったという証言をもらった。
辿り着いた場所は廃校で、儀式が行われていたと思われる部屋を発見。
そこには、儀式で使用されたであろう私物が山のように転がっていて、異様な雰囲気となっている。
その私物を見て回っていると、仁さんがあるものに気付く。
それは、投稿映像にも映っている戦隊モノのおもちゃだった。つまり・・・

 

最後に、Cさんが入手した儀式の映像。
主催者がうさんくさい口ぶりで場を盛り上げ、里美さんがトップバッターに指名される。
里美さんは例のおもちゃを主催者に渡して木のハンマーを持ち、主催者の「骨と共に砕け散れ!」という号令と共に「仁死ね」と連呼しながら動物の骨をひたすら叩き砕く。
その際に里美さんの奥にギョロ目の男がいてこちらを睨んでいるが、まぁそんなのどうでもいい。
ってか前編のあいつと同一人物には見えん。
母親の闇と狂気に全振りしたエピソードで、これだけでも十分におつりがくる完成度だった。

 

 

 

<総評>
★★★★★★★☆☆☆
パート16~21で演出を務めた福田演出と、「監死カメラ」シリーズを手掛ける寺内演出がタッグを組んだパート。
どちらの影響か分からないが、事象は全体的に小さく控えめだけど、ズームすると造詣がハッキリ分かるというパターンが多く、じわじわくる怖さがある。
まぁ飛び降りのクオリティーが低かったのは残念。
ってか、ほん呪以外も含めて、未だに「落下する霊(パート10)」を超えるものを見たことがない。頑張ってくれ。

 

今回は何と言ってもメインに尽きる。
愛情を持って育てていたと思われた母親が、怪しいセミナーに参加していただけでもショックが大きいのに、陰で恨んでいた相手がDVしていた男ではなく仁さんだったという予想外のオチや、その後味の悪さは今までにない。
児玉演出期からジワジワと感じていたマンネリ感を見事に打破する名エピソードだった。

 

と、ここまで★8~9ぐらいになりそうな感じで評価したが、★7止まりだったのは理由がある。
上のレビューではスルーしたが、メインの冒頭や前編のラストなどにあからさまなネタバレがあり、今回のオチに驚きがなかった。
「禁忌 後編(パート69)」があれだけの恐怖と狂気に満ちていたのは、当初黒幕と思われた長男が人形だったという予想外の展開から、舌も乾かぬ内にババアにばれる→部屋の隅に追い詰められる→ババアが発狂したように笑うという凶悪コンボがあったからだ。
だが、今回は冒頭の段階で後味の悪いオチになることが丸分かりで、セミナーの話になった時点で全てを察してしまった。
いつもだったら「!!!」と表記しているところを「。」で済ませるぐらい冷めていたというのが本音で、もったいないことしたなと思う。