ソニー ICF-B09のバッテリーを電気二重層コンデンサに換装してみた

バッテリー劣化のジャンクで手に入れたソニーの防災ラジオICF-B09を電気二重層コンデンサに換装したため、その挙動や使い勝手について調査してみた。

 

 

<はじめに>

比較対象として、山善の電気二重層コンデンサ内蔵防災ラジオのYTM-R100を用意した。

結論を最初に言うと、普通に使うことはできるが、ニッケル水素電池用に設計されているためYTM-R100とは挙動が異なっていた。



 

 

<改造について>

1つお断りしておくと、分解写真等はありません。

というのも、改造を行ったのは半年以上前で写真を撮っておらず、防水用のシーリング処理をしてしまったため、再度分解するのは非常に手間なので。

まぁ今回は、挙動の調査とか同じことしようと思っている人への参考という意図が大きいので、他の人の分解写真等を参考にしていただきたい。

改造内容としては、内部にあったニッケル水素電池(単四×2で、コードレス電話機のバッテリーみたいなの)を取り外し、代わりとして電気二重層コンデンサコレ秋月電子のリンク)を2個並列に接続した。

容量は20Fで、YTM-R100と同じ。電圧はニッケル水素電池の充電電圧を考慮して3.0V品を使用した(2.7Vでも多分大丈夫)。

この改造が意外と大変だった。

ICF-B09は構造が複雑で、ねじの種類と数が多すぎて分からなくなったり、ケーブルを抜こうとしたらコネクタのシェルごと抜けたり、ニッケル水素電池は全バラしないと取り出せなかったりして、悪い意味でこの値段になるのも納得だった。

後継機は設計を見直して、電気二重層コンデンサタイプになった上でコストダウンしてほしいところ。

 

 

 

<手回し発電>

1分間に120回転程度のペースで手回し発電を行った。満充電までの回転数は以下の通り。

ICF-B09 YTM-R100
150回転 150回転

1番大きな差として、YTM-R100は充電完了すると回転が軽くなるのに対し、ICF-B09は負荷が変わらないため、充電完了目安が分からなかった。

10回単位で回転数を変えてライトの連続使用時間をチェックしたところ、150回転以上はほぼ変化がなかったため、これを満充電とした。

ちなみに、YTM-R100は取説によると150回転×2分で満充電らしいが、ラジオやライトが点かなくなった段階では放電しきっていなかったため、回転数が少なく済んだと思われる。これはICF-B09も同様。

 

 

 

<ライト連続使用時間>

スポットライトの連続使用時間は以下の通り。

ICF-B09 YTM-R100
約18分 約24分

連続使用時間に大きな差があった。

ただこれは、使用しているLEDの差や電源回路の差が影響していると思われるため、参考程度にした方がよさそう。

また、ICF-B09はライトを使用してもラジオにノイズは乗らないが、YTM-R100はノイズが乗り、ラジオと併用することは出来ない。

ちなみに、ライトの明るさはこんな感じ。左はICF-B09で右はYTM-R100

ICF-B09は範囲が狭いがより明るく、YTM-R100は全体的に明るかった。

ただどちらも、室内で使用する分には使える程度のため、アテにするようなものではない。

 

 

 

<ラジオ連続使用時間>

FMで話し声ぐらいの音量に調整して連続使用時間を調査した。結果は以下の通り。

状態 ICF-B09 YTM-R100
同調ランプ消灯 - 約28分
電源ランプ消灯 - 約45分
ラジオOFF 約40分 約60分

挙動は大きく異なり、ICF-B09はいきなりOFFになったが、YTM-R100は同調ランプが消えた辺りから、電源ランプが暗くなるとともに音量が小さくなっていった。

普通に使用する分にはどちらも40分程度だった。

これは推測だが、ICF-B09は元がニッケル水素電池2本直列のため、終止電圧である2V付近でOFFになるように設計されていると思われる。

また、これは単三乾電池駆動にしていても同様のようで、OFFになった瞬間の電圧を測ってみると2Vだった。

連続使用時間が減少してしまったが、これには2つの理由が考えられる。

1つは20Fという容量が電池容量換算すると10mAh程度しかないこと。

もう1つは電気二重層コンデンサの電圧特性で、ニッケル水素電池は⤵のような電圧特性のためほぼ使い切ることができるが、電気二重層コンデンサは↘のような電圧特性のため、上記の2Vリミッターとの相性が悪く、使い切る前にOFFになっていると考えられる。

まぁそれでも、1分間の手回しで約40分使用可能というICF-B09の発電効率により、十分実用的である。

 

 

 

<まとめ>

元々、バッテリー劣化で充電できなくなっていたものだったが、電気二重層コンデンサに換装したことで復活した。

最初から電気二重層コンデンサ用に設計された製品と比較すると、挙動が異なるものの十分実用的で、安心して防災バッグに入れることができるようになった。

他の機種でも最大電圧さえ守っていれば何とかなるから、自宅にある防災ラジオが充電できなくなっていたら、(それなりの知識とかが必要だけど)電気二重層コンデンサに換装するのも手だということを覚えていただけたらと思う。