ほんとにあった!呪いのビデオ64レビュー

評価:★★★★★★★★★☆
3部作「スケープゴート」の最終章で、考察が楽しい。
久しぶりに隠し事象が登場する。

 

 

 

<怨讐>
   恐怖度:★★★★
 インパクト:★★★
分かりやすさ:★★★
  不気味さ:★★★★
 エピソード:★★★★
友人たちとドライブ中に廃墟を見つけ、中を探索している映像。
上の階からドンドンという音がするが特にビビる様子はなく、「動物でもいるんじゃない?」と言って上を見に行くことに。
上の階には、前へならえの格好をしたまま倒れている人形と、生首だけの人形があり、それを眺めていると、立てかけてあった木の台車っぽいものがひとりでに浮き、ガッシャーンと落ちる。
この廃墟では昔、遊び仲間によってリンチに遭い死亡し、近くの山林に遺棄された噂があるとか。

 

落ちた際にバラバラになるのがいいね。
後、事象が起きる直前の「撮れてる?」って言った直後、窓に口を開けた巨大な顔がある。
昔見た時は気付かなかった。思わずゾッとしたので恐怖度★4にした。

 

 

 

<トイレ>
   恐怖度:★★★★★
 インパクト:★★★★★
分かりやすさ:★★★★
  不気味さ:★★★★
 エピソード:★★★★
投稿者の彼氏が行方不明になり、彼氏の家のトイレで見つけたスマホに記録されていた映像。
彼氏は心霊現象を調査しYoutubeに上げる趣味があったようで、行方不明になった日に撮影された映像が2本あったという。
1本目はある公園の女子トイレで霊が出るという噂を検証したもの、もう1本は自宅のトイレで撮影したものであり、行方不明になる直前に撮影されたと思われる。

 

この公園の女子トイレの噂は、ある心霊スポットを紹介するサイトに載っていたようで、そこの管理人に詳細を伺ってみた。
すると、あの噂は管理人による創作であり、よくある召喚術を参考にしたとのこと。
実際、この公園の女子トイレは他のサイトでは紹介されていなかったのだが・・・

 

1本目の映像は、噂通り12時ちょうどに全てのトイレの水を流し、手前の個室内で待機をする。
すると、ドアをノックする音が聞こえ、ドアの隙間から半透明の子どもが歩いているのが見える。
上から覗き込むが誰もおらず、恐る恐るドアを開けると誰もいなかったので、この場を後にした。

 

2本目は、自宅のトイレでドアをノックする音が聞こえ、とっさに撮影したところから始まる。
何度もノックをされ、恐る恐る開けてみるが誰もいない。
ヌカ喜びしたところでふと窓の方を向くと、すりガラス越しに顔が真っ赤な子どもがこちらを見ており、携帯電話を置いて逃げ出す。
録画が続いている携帯電話には、幼児のぐずるような声がしばらく記録されていた。

 

お前そんな色じゃなかったじゃん!
なんで1本目は半透明ながら普通の色なのに、2本目は真っ赤になってるんだよ!
声も妙に幼いし、こちらの予想をいい意味でことごとく裏切りやがる。
ようやく、菊池演出もキレキレなエピソードを出せるようになってきたな。

 

 

 

スケープゴート 後編>
   恐怖度:★
 インパクト:★
分かりやすさ:★★★
  不気味さ:★
 エピソード:★★★
3部作の後編で、前回までのあらすじはこんな感じ。

  • 投稿者郡司さんの彼氏(田丸さん)含む学生3人と准教授が、ゼミの調査旅行をしてからおかしくなり、それぞれ失踪したり、事故で両足切断したり、心不全で亡くなったり、リスカによる自殺未遂など不幸に見舞われた。
  • 准教授は調査物を無断で持ち帰らせる常習犯で、御神体猿の手)を持ち帰らせていたが、その地域の巫女の逆鱗に触れ、呪いをかけられた。
  • 田丸さんが御神体を持って詫びに行ったようだが、巫女は先月亡くなっていた。
  • ゼミの教室に空き巣が入り、そこになぜか少女(沙希さん)がいて保護された。
  • 沙希さんは3ヶ月前に川で行方不明になり、約2ヶ月後に発見されており、記憶喪失のような状態となっているが、様子が日に日におかしくなっている。

 

まずスタッフ会議から。
山下演出補は准教授の自殺未遂について、自分達の取材がやりすぎだったんじゃないかと自責しているが、加害者キラーの菊池は全く責任感じていない様子。
まぁ元々危ない兆候あったもんな。
とりあえず今までの調査結果を心霊研究家に伝え、アドバイスをもらうことにした。

 

その後も調査を続けたところ、准教授の知り合いから、学生時代の研究資料をもらうことができた。
まぁ内容は前回聞いた話と同じなのだが、供養に使う動物の体の一部(主に猿の手)は使い回しており、次第に力が強くなり、悪霊が入り込んでしまうという。
その力を封印するためにお札を貼り、古くなったら燃やすことで災いを防いでいたとか。
また、准教授が調査したと思われる場所を記した地図を入手できた。

 

続いて、亜美さん(沙希さんの姉)が妙にニヤつきながら沙希さんの近況を話にきた。
自傷行為を繰り返していて、かなり衰弱しているようだ。
また、部屋の中で沙希さん以外の声や気配を感じることがあるという。
そこで、沙希さんの部屋にカメラを設置し、川居と佐藤演出補が付きっきりで監視することになったところで、亜美さんが持ってきた映像。

 

沙希さんの部屋の中で、3〜4人ぐらいの男女の声が聞こえる。
聞き取れないことはないが、話に脈絡がなく意味不明。
何となくだけど、沙希さんを回している(順に乗り移っている)ことを楽しんでいる感じ。
ドアを開けるとその声が急に止み、沙希さんが手首にカッターを当てて血を流していた。
亜美さんが動いているのに音の位置が変わってないのが気になる。
もう1つ気になるのは、妹のリスカに対して妙に反応鈍いし、カメラを持ち続けていること。
何度も見て慣れてしまったのか、妙にニヤついていたことの伏線なのか・・・

 

それからちょっとして、心霊研究家から見解が届いた。
御神体の封印を解いたことが、呪いの原因である可能性が非常に高く、田丸さんが元の場所に戻したとして、それでも呪いが解けなければ燃やすしかないという。
また沙希さんについても呪いが関係している可能性が高く、一刻の猶予もないとか。
という訳で、男性陣は御神体を探しに、女性陣は沙希さんを監視することになったところで次へ。

 

 

 

<赤い傘>
   恐怖度:★
 インパクト:★★
分かりやすさ:★★★
  不気味さ:★
 エピソード:★
撮り鉄の彼氏に付き添い、ある踏切で撮影した映像。
うまく撮れなかったので2本目のスタンバイをし、電車が来る直前、線路に赤い傘を持った女性が倒れている。
よく見ると仰向けで、服は血?で汚れ、下半身が半透明になっている。
この踏切では、電車に撥ねられて亡くなった女性がいたとか。
お前だけクッキリしすぎだ。雑コラとしか思えん。

 

 

 

<シリーズ監視カメラ 覗き穴>
   恐怖度:★★
 インパクト:★★★
分かりやすさ:★★★★
  不気味さ:★★
 エピソード:★
玄関の覗き穴に設置された監視カメラの映像。
深夜にインターホンを鳴らされたり、ドアを叩かれるなどの嫌がらせを受け、バレないように設置したそうだ。
画面右に映るエレベーターのドアが開くが、誰も出てこない。
その数秒後、左上から覗き込む顔が現れ、半透明になったりノイズに紛れて消える。
そういう特殊能力要らんから。

 

 

 

<続・スケープゴート 後編>
   恐怖度:★★★★
 インパクト:★★★★
分かりやすさ:★(事象なしのため)
  不気味さ:★★★★
 エピソード:★★★★★
墓と木箱を探しに、准教授が地図に印を付けた場所へ向かう新菊池探検隊。
だが印はいくつもあり、そう簡単に見つかるわけもなく、辺りは真っ暗になってしまう。
途中、(ほぼ新品の作業着を着て、カゴにはおそらく何も入っていない)地元住民により、墓の場所と、ヒダルイという死者蘇生みたいな話を聞くことができた。
↑こいつ仕込みクサすぎるだろwww

 

その場所は車で近くまで行けるようだが、道は険しく途中から歩くことに。
途中、「山は自己責任」というさっきのオッサンが貼り替えたばかりなんじゃないかって感じの貼り紙を見つけたりしながら進んでいると、山下が崖に落ちかけ、地図を落としてしまう。
だが山下は道を覚えており、無事に墓に辿り着いた。
そこにはバッグとカメラが落ちている・・・田丸さんのだろうか。

 

そして、掘り返した跡を見つけ、そこを掘ってみると御神体の入った木箱を発見!
木箱を開けたところから、沙希さんに異変が!!
ここからはリアルタイムで映像が切り替わる、海外ドラマにような展開に!!!
エクソシストみたいに発狂する沙希さんと、とりあえず燃やすかという緊張感のない新菊池探検隊の落差で草。
猿の手を火にかけると同時に、沙希さんが急に起き上がったかと思ったら気絶し、そのまま入院することになった。

 

ところで、部屋の奥にいるの母親か?モノクロに見えるから霊だと思ってた。

 

 

 

<寺跡>
   恐怖度:★★
 インパクト:★★★
分かりやすさ:★★★
  不気味さ:★★★
 エピソード:★★★
友人達と4人で、心霊スポットで有名な公園に行き撮影した映像。
その公園は昔神社だったようで、幽霊が出たり、首無し地蔵に触れると呪われるという噂があるようだ。
投稿者と共にそこに行ってみると、首無し地蔵は頭が作り直されており、そこだけ色が違っている。
その地蔵に寸止めで触れようとした女性がいて、その女性が飼っている猫が急死し、すぐ後に祖母も亡くなってしまったという。
まぁ猫はともかく、祖母はずっと脳梗塞で入院していたようなので偶然かもしれないが。
この場所について調べてみると、約50年前に寺守の老婆が惨殺される強盗殺人事件と、その約10年後に女子大生が殺害され、この付近に遺棄される事件があった。

 

肝心の映像は、首無し地蔵で一通り記念撮影をした後、女性の背後に顔を覗き込むような女の顔がある。
また、右肩あたりに手がかかっている。
ナイトモードのせいで極端な色味になっているのが惜しいな。
手なんかスローでもよく分からなかったぞ。
とはいえ、劇場型になり過ぎない、ちょうどいい塩梅のエピソード。

 

 

 

<人身事故>
   恐怖度:★
 インパクト:★★
分かりやすさ:★★★
  不気味さ:★★
 エピソード:★★
偶然目撃した人身事故の様子を撮影した映像。
遺体の一部を隠してると思われるブルーシートを映していると、スーツ姿の女性が立っている。
その女性がブルーシートを覗き込むようにしゃがんだところで、カメラの前を人が通りかかり、いつの間にか女性がいなくなっている。
半透明なのはいいとして、やっぱりモノクロだとイマイチだな。
そんなことよりも、もうちょっとで(ry

 

 

 

<終・スケープゴート 後編>
   恐怖度:★★★
 インパクト:★★★
分かりやすさ:★★★
  不気味さ:★★★★★
 エピソード:★★★
沙希さんが入院先の病院から抜け出し、失踪したという連絡が来た・・・その画使うのは反則だろwww
ここでスタッフの推論。

  • 沙希さんは3ヶ月前の失踪時点で本当は亡くなっていたのではないか。
  • 実際、最初の投稿映像と准教授が自殺未遂した際に現れた霊は、沙希さんに酷似している(やっぱ気付いてたじゃん!)。
  • だが、巫女によるヒダルイの儀式で復活し、御神体を取り返すためにゼミの教室に侵入したのではないか。
  • しかし、その頃には田丸さんが返そうと持ち出していたため見つけることができず、とりあえず犯人達を葬ったのではないか。
  • スタッフが御神体を燃やしたことで、沙希さんに取り憑いていたものは消えたが、今度こそ沙希さんの寿命が尽き、人知れず消えたのではないか。

 

最後に、墓のそばに落ちていたデジカメは田丸さんが撮影したもので、御神体を戻す様子が収められていた。
なぜか警告付きだけど、不届き者4人以外は多分大丈夫。
墓に辿り着き、カメラを置いて木箱を元の場所に戻す田丸さん。
土を被せた後、詫びのメッセージを残していると物音が鳴り響く。
周囲を撮影したりナイトモードにするが何も映らず、ヌカ喜びしながら足元を映すと、田丸さんを囲うように数人の足元が映り、カメラを落とす。
そのまま数秒間映したところで映像は途絶えるのであった。
ちなみに、カメラを落とした後、画面左上に90°傾いた顔が見える。
事象自体はそれほどでもないけど、田丸さんの決死の行動とその緊張感は高評価。

 

 

 

<総評>
★★★★★★★★★☆
投稿映像については、久しぶりにゾクッとするものが出てきたので良かったと思う。
特に、今回は久しぶりに隠し事象が登場し、昔見たときはどちらも気付いていなかったので新鮮だった。

 

今回の3部作は、かなり尺が取られていることもあり濃密で、最後まで見ごたえあった。
筆者は3部作についてはほとんどストーリーを覚えているのだが、「スケープゴート」編だけはほとんど忘れていたので特に新鮮に感じた。
ストーリーについては、よく分からなかったという意見を見るけど意外と単純で、

  • 御神体を盗んだことで巫女の逆鱗に触れ、犯人らが不幸に見舞われた。
  • 巫女が水難事故で亡くなった沙希さんを蘇生させ、御神体を取り返そうとした。

という2点に集約される。
沙希さんの正体は勘が良ければ前編の時点で推測できるが、作中で明示されるのはラストのため、ここで躓くと最後までよく分からなくなってしまうと思われる。
筆者はレビューに書いた通り、沙希さんを見て霊と同じだと気付き、発見時の投稿映像で正体を察したので考察しながら見ることができた。

 

歴代でもトップクラスに好きな3部作だけど、残念な部分もある。
確かに沙希さんの正体については分かり辛いが、ヒントは十分にあるので明示しない方が良かったのではないかと思う。
と言うよりも、「気付かれなかったらどうしよう」というプレッシャーに負けて、要らん情報を出してしまった感がある。
特に後編が顕著で、准教授の知り合いから聞いた話は半分以上准教授の話と被っているし、心霊研究家の意見なんてぶっちゃけ要らなかったし、あのオッサンは仕込みクサすぎる(笑)
前回、前々回もあからさまに核心に迫っちゃうヒントがあったから、このバランスがもっとうまく取れれば劇場版にしてもいけると思う。

 

最後に、今回の3部作はスタッフの推論以外にも考察の余地が多く残っている。
筆者の考察はこんな感じ。

  • 准教授の投稿映像やラストに出てきた霊は既に亡くなっている巫女達で、木箱の解放と共に解き放たれたのではないか。
  • 沙希さんの発見された日時と、巫女の生き残り(瀬戸山さん)の亡くなった時期がかなり近いことから、瀬戸山さんがチャッキーみたいな術を使って沙希さんに乗り移ったのではないか。
  • また、その時に巫女仲間の力を借りており、それが沙希さん発見時の霊だったのではないか。
  • そんなこんなで、巫女達は沙希さんに転生し、後編の声から察するに楽しんでいたのではないか。
  • と思いきや、巫女の中にも階級があり、瀬戸山さんは階級が低かったことや、つい最近まで生きてたことで、のけ者にされていたのではないか。
  • そこで瀬戸山さんは巫女仲間を裏切り、亜美さんに乗り移って投稿映像を撮影し、ニヤつきながらリークしたのではないか。
  • これにより、御神体を燃やすよう誘導できたが、スタッフがなかなか墓を見つけられなかったため、仕込み感満載のオッサンに扮してヒントを与えたのではないか(笑)
  • 御神体を燃やしたことで巫女達が消滅、あの発狂は巫女達の断末魔ではないか。
  • 瀬戸山さんだけは御神体を経由していなかったので消滅を回避し、復讐も済んだので自由に生きようと病院を抜け出したのではないか。
  • あの墓周辺をもっとよく探したら、田丸さんの遺体があったのではないか。

瀬戸山さんが沙希さん以外に乗り移ったのは筆者自身も無理があると思うけど、やっぱメインはこういう考察が醍醐味だな。