ほんとにあった!呪いのビデオ70レビュー

評価:★★★★★★★☆☆☆
前回でやり切ったのか、狂気は影を潜めインパクトメインな印象。
メインは約69分の大ボリュームで、映像、エピソード共にカオス。

 

 

 

<マリオネット>
   恐怖度:★★★
 インパクト:★★★
分かりやすさ:★★★
  不気味さ:★★
 エピソード:★★
夫がマリオネットを購入し、投稿者と娘に披露している映像。
一瞬ズームを引くと、棚の端にゾンビみたいな生首が転がっている。
この人形は撮影当日、市内のバザーで購入したという。
そう来るかという意外性(押入れが不自然に開いているのでそっちだと思ってた)はあるが、顔に頼り過ぎかな。
正直、グロ系で怖いと思ったことはほとんどない。

 

 

 

<染み>
   恐怖度:★★★
 インパクト:★★★
分かりやすさ:★★★
  不気味さ:★★★
 エピソード:★★★★
バイト先の同僚ら3人で旅行に行き、その近所の廃墟を探索している映像。
後で調べたところ、その家の老婆が孤独死し、何年も放置されていたという。
また、友人の1人が体調不良となり、今は引っ越したようだ。
また、以前からやたら喉が渇いていたようだが、関係性は不明。

 

ここで、スタッフがその廃墟に行くのだが・・・君演出補だったの?
1作しか登場しないのにな。お疲れ。
問題の部屋には畳に大きなシミがあり、老婆がそこで朽ちたことを物語っていた。
その後発見した新聞記事によると、遺体の発見までに3年半もかかっており、息子が年金の不正受給と介護放棄の容疑で逮捕されていた。

 

肝心の映像は、床の抜けた問題の部屋を発見し周囲を見渡していると、例の染みが広がっていき、老婆が現れて起き上がる。
ビビってハイ終わりなのはマイナスだが、劇場型で登場の瞬間を捉えたものは珍しく、エピソードもいい感じ。

 

 

 

<二段ベッド>
   恐怖度:★★
 インパクト:★★
分かりやすさ:★★★
  不気味さ:★★
 エピソード:★★
25年前に撮影されたホームビデオ。
二段ベッドのある部屋で子供達を撮影していると、部屋の奥に着物のようなものを着た男がいて、首を動かしている。
この男は長男を溺愛していた近隣住民に似ていて、撮影日の約1年前に亡くなっているとか。
また、長男はこの数ヶ月後に交通事故死してしまったようだ。

 

首から上だけ動いているのでコラ感が強い。
時々出てくる、置いてある服に顔や手が生えているパターンだと思ってた。
ってか、次のカットでも左腕(服のみ)がかすかに映っているから、そのパターンだと思っている。

 

 

 

<Fake 前編>
   恐怖度:★
 インパクト:★★
分かりやすさ:★★★
  不気味さ:★★
 エピソード:DQN(ゴミ)
今回のメイン。
投稿者(則子さん)が夫(昭一さん)と娘(小春ちゃん)と3人で花火をしている映像だが、事象が声だけで地味だったため、当初は採用を見送られていた。
だが、見直したところ声以外の事象を見つけたため、撮影場所である公園で話をすることになった。
娘の背後に何かいたようだが、娘の背後は茂みフェンスだし急斜面となっているため、人がいたとは考えにくい。
また、夫が事象を発見した他、子供時代に霊が映っているビデオを見たことでトラウマになっているとのこと。

 

まずは公園について聞き込みをしたところ、濡れ女という霊が出る噂があるようだ。
濡れ女とは、雨の日に顔が黒くて首が長く、死んだ自分の子どもを探していて声をかけられるという最近出てきた都市伝説のようで、小学生男児が見たことあるので似顔絵を描いてもらうことに。
・・・いやそんなのいらんだろwww描いてもらった絵も噂そのままだし。
地元の図書館でこれに関する事件事故を調べたところ、約20年前に古井戸に落ちて亡くなった男児(健君)がいて、母親もそれを苦に自殺したとか。

 

ここで投稿映像。
夫がカメラを持ち、娘が花火している様子を撮影している。
娘が線香花火をしていると、左耳からか弱い女の声が聞こえ、娘の左肘辺りに顔が現れる。
輝度を上げてみると、かすかに女性っぽく見える顔だった。
・・・いや、輝度上げなくても普通に分かるでしょ。

 

その後も調査を続けていると、濡れ女の発端となった?健君の事故について、昭一さんが知っているのではないかと森澤が推測する。
という訳で取材交渉をするが、投稿者によると最近ヒステリックになっているようで、返事がもらえないでいた。

 

そんなことしてる間に、当時のことを知っている同級生(水浦さん)から話を聞くことができた。
昭一さん含む5人で遊んでいて、水浦さんと弟が帰った後、かくれんぼをしている間に転落したという。
また、健君は生まれつき右親指が欠損していたり病弱だったりしていたようで、友達ではあったがカーストの差があったという。
また、投稿映像の少し前に同窓会があり、そこで昭一さんはもう1人の当事者(神保さん)と込み入った話をしていたようだが・・・

 

数日後、取材許可を得たので則子さん宅に行ってみることに。
夫の帰りは約2時間後のようだが、則子さんが夫について話したかったのか、近況を教えてくれた。
昨日、取材のことを話したら口論になったようで、そのはずみで炊飯器が壊れていた。
その後も娘を心配する話をしていたところ、娘が帰ってきたので当時のことを聞いてみるが、全く気付いていなかった様子。

 

そんなこんなで夫が帰ってきて、則子さんが玄関に行き取材のことを説明するが、何やらもめている模様。
ようやく来たので話かけるが「大丈夫」の1点張りで、健君の事故や子供時代に見た霊が映っているビデオについても答える気配なし。
部屋を移動されたためダメかと思ったら、下顎のない鬼のお面を持ってきて、あの投稿映像はこれを使った自演だったとクソみたいな嘘をつき始める。
もちろんそんな嘘が通じる訳なく、妻どころか娘にまで否定されると手を出し始め、どうしようもなくなったので引き上げることにした。
・・・スタッフ陣の方が精鋭揃ってるし、則子さんもいいキレっぷりだったから、出るとこ出てもええんやで?

 

その1週間後、夫が娘に暴力を振るい、重傷を負って入院したと連絡が入ったところで次へ。
・・・昭一のせいで話がややこしくなるばかりだし、そもそもこのパターン何回目だよって感じだし、これが後約38分も続くと思うと嫌な予感しかしねぇ。

 

 

 

<シリーズ監視カメラ ペットカメラ>
   恐怖度:★★
 インパクト:★★
分かりやすさ:★★
  不気味さ:★★
 エピソード:★★
リビングに設置されたペットカメラの映像。
時々倒れていることがあり、原因を探るため録画しっぱなしにしていたという。
暗い部屋でワンちゃんがボール遊びをしているカットの後、ワンちゃんが何かの気配を感じ、唸り声を上げる。
その後カメラにタックルして倒れるが、カメラの後ろに人間のようなものが立っていた。
これを見てすぐに引っ越したようだが、ワンちゃんは約半年後に亡くなってしまったようだ。
こいつのファッションセンスが気になる。

 

 

 

<寝顔>
   恐怖度:★
 インパクト:★★★
分かりやすさ:★★★★
  不気味さ:★
 エピソード:★★★★
投稿者の彼氏が投稿者のスマホを使い、寝顔を撮影している映像。
投稿者はこの日、体調不良で寝込んでいて彼氏に気付いていなかったが、スマホが落ちる音を聞いて起きた時には誰もいなかったという。
その映像を見ると姿見に何かいたようで、それ以来見るのも捨てるのも怖くてカバーをかけているようだ。
カバーを開けるとヒビ割れているが、今回の件とは関係なく、引越しの際に割ってしまったとのこと。

 

今度は彼氏の話題。
彼氏とは3〜4ヶ月前の合コンで知り合ったばかりで、合鍵を渡しているくせに友人や職場も知らないという。
彼氏を知る人によると、彼氏は妻と死別しているようで、鏡に現れた女性は元妻なのだろうか・・・
と思ったらただの離婚のようで、元妻は存命だった。
さらに、離婚から投稿者と付き合うまでに2人の彼女がいて、どちらも不幸な目に遭っていた。
・・・いい機会だし、次の恋を探した方がいいと思うよ。

 

肝心の映像は、彼氏が寝ている投稿者の服をめくり上げながら実況するという○○みたいなことをしていると、姿見に映る彼氏の背後に女性がいて、白い目で彼氏を見ている。
それに気付いた彼氏がスマホを落とし、一目散に部屋を出る音が記録されていた。
元妻の生き霊なのかな?
まぁ○○みたいなことをしようとした彼氏を撃退したわけだし、悪い奴ではなさそう。
ってかこれハッピーエンドだよね?

 

 

 

<墓>
   恐怖度:★★
 インパクト:★★★
分かりやすさ:★★
  不気味さ:★★
 エピソード:★
大学の合宿中に行った肝試しの映像。
始まって1秒で超古典的なビビらせ方をするなてめぇ!
で、ゴールに辿り着くが、そこで待っているはずの人が現れないので雑談をしていると、白Tの女性の後頭部から、髪をかき分けるように手が現れる。
次のカットでその女性が髪をかき上げると、首と髪の間に見開いたような目元が映る。
この女性は約1ヶ月後、ストーカー男にナイフで刺されて重傷を負ったようだ。
手品系にも程がある。

 

 

 

<Fake 後編>
   恐怖度:★★★★★
 インパクト:★★★★
分かりやすさ:★★★★
  不気味さ:★★★
 エピソード:DQN(★)
事故の件が関係あると睨んだスタッフは、まず事故現場の古井戸に向かった。
何年も整備されていない道を迷いながら歩き続けると、古井戸らしきものを発見。
事故があったにも関わらず囲いが全く無く、落とし穴のようになっており、近くにお供え物があった。

 

ひとまずこの場を後にして、周辺住民に聞き込みをすることに。
ここから色々な証言が出てくるのでまとめると、

  • 父親は浮気の常習犯で、以前から別居状態だった。
  • 父親は健君を虐待していた疑惑があり、健君の親指の欠損も生まれつきのものではない可能性が高い。
  • 健君は喘息だったが、父親の暴力と母親の過保護による心因性のものと思われる。

 

また、昭一が言っていた霊が映っているビデオを持っている人に出会い、話を聞くことができた。
昭一と神保さんは地域の百人一首のメンバーで、そのメンツでリゾート地に行き撮影した映像に奇妙なことが起こっていたようだ。
で、それの上映会を行ったところ、昭一と神保さんが異様に怯えていたという。
ところで、投稿映像がちょっと流れるけど、この時点で幽霊さん映っちゃってるぞ。

 

神保さんの住所を入手したため行ってみることに。
だが行ったのは昼で、神保さんは仕事なのか留守にしていたため、そのまま8時半ぐらいまで十数m離れたところで張り込み続けるストーカースタッフ。
神保さんが帰ってきたので話しかけるといきなり逃走!全員で追いかけ回すことに。
だが途中で北村君が転倒!!俺に構わず行けみたいなそぶりを見せ、森澤、菊池は追いかけ続ける。
高架下の歩道でようやく追いつき、逆ギレで尋問をしたところ、あのお供物は2人で手合わせに行った時のものらしい。
事故当時、自分は見ていないが、昭一が健君の持っていた手袋を井戸に投げ込み、その後転落したという。
また、消防への連絡が事故から数時間も経っており、小学生しかいなかったとはいえ、もっと早く通報できていたら助けることができたのかもしれない。
・・・この間何度も逃げようとするが、その度に森澤に突き返されて、どんどん喋らされるの草。

 

通報までに時間がかかり過ぎていることに疑問を感じたが、明日からは出張などで空いていないので、今から行って検証することを提案するブラック上司菊池。
小学校に着き、そこから井戸までの時間を測ることにした。
ちなみに、iPhoneのストップウォッチで計測するんだけど、現在時刻はモザイクがかかっている・・・深夜残業乙。
山道までは車で向かい、そこからは歩いて向かうが、また道を間違えたのか、無数の墓が放棄された場所に辿り着く。
引き返そうかと思ったら、北村君のTシャツが血で染まっている!
服をめくり上げてみると、ヒルに噛みつかれてしまっていた。
ようやく到着して時間をみると、ロスした分を除いて30分ぐらいであり、甘く見積もっても90分程度の空白時間があった。
まぁ自分で助けようとしたとか、場所が分からずに状況を把握できなかったとか考えられると思うが。
ついでなので、例の手袋がまだ落ちていないか、カメラをロープに巻き付け、井戸の底を撮ってみることにした。
不穏なBGMが流れるが、救助の際に回収されたのか何もなかった。

 

スタッフルームに戻り、追加情報などを得たのでそのまとめ。

  • 春ちゃんは退院し、則子さんと共に実家に帰り、離婚の方向で話が進んでいる。
  • 警察の見解によると、通報までのタイムラグは、母親が古井戸を見つけるのに手間取ったため。
  • 健君の親指欠損は、4歳の時にドアを挟んだことによるもの。
  • ちょうどその頃、両親は離婚話が出ていたようで、古井戸での事故の際も離婚話が出ていた。

謎が謎を呼んだって感じだな。
言ってしまえば投げっぱなしだけど、考察の余地を残しまくって、自分なりのストーリーを考えてくださいって所か。

 

最後に例の映像。
リゾート地の道路と思われる斜面で、昭一ら4人の子どもが野球をしている。
テニスの音が聞こえるけど、野球できるスペースはここしかなかったのかな?
映像が乱れた直後、その4人を見つめるようなモノクロで足のない子供が現れる。
また映像が乱れると、爆音と共に顔みたいなサイケ映像が差し込まれる。
それが収まったかと思ったら、わずか4秒後に同じような爆音と別の顔が現れる。
これで終わりかと思ったら、そのわずか3秒後にダメ押しがあり、ようやくリプレイになる。

 

今回のメインを象徴するカオスっぷりだなこれ。
子供だけで十分成立しているのに、3回もサイケ映像差し込まれるとは思わないって。
爆音はかなり耳に悪いので注意。
爆音はほとんど悲鳴のような感じだが、「うざいねん」「あっちいけ」「なんで」と聞こえる。
健君の心の叫び or 昭一達に言われたことがフラッシュバックされたのだろうか。
・・・ラストの「おかあさん」はこじつけだろ。

 

 

 

<総評>
★★★★★★★☆☆☆
前回でやりきったのか、狂気は影を潜め、菊池演出初期ほどではないが派手な映像が多かった。
まぁダメって思うようなものはなかったから、菊池演出の成長を感じられた。

 

今回も例に漏れず長くて、特にメインは約69分と大部分を占める。
その内容もいつになくカオスで、よく言えば考察の余地が多く残っているが、悪く言えば投げっぱなしだった。
それ自体は否定しないが、意味なかったり間延びしているシーンが非常に多く、約69分もかけてやるような内容じゃなかったと思う。
特に、深夜残業の検証は大して撮れ高なかったけど、せっかく行ったからカットはしたくないという製作者側の都合を感じた。

 

今回で15作続いた菊池演出期もラスト。
初期こそ低迷していたが3つ武器を見せてから覚醒し、何だかんだ岩澤演出と同等以上に高く評価しています。
お疲れさまでした(今後も裏方として関わるけどね)。