ほんとにあった!呪いのビデオ69レビュー

評価:★★★★★★★★★☆
冥婚をテーマにした3部作「禁忌」編最終章。
実質的に菊池演出の集大成で、歴代最恐の狂気が炸裂する!!!

 

 

 

<火葬場>
   恐怖度:★★
 インパクト:★★★
分かりやすさ:★★★★
  不気味さ:★★
 エピソード:★
友人らと深夜ドライブ中、火葬場の廃墟に立ち寄って撮影した映像。
火葬炉に辿り着き、ドアを開けて中を観察していると、墓場に行ってた別グループの友人から電話が来る。
スピーカーにして話をしていると、女の声のようなものが聞こえる他、帰ろうとすると火葬炉に這うような女がいて、バカみたいに大声をあげて逃げ出すのであった。

 

劇場型としてはよくできているけど、教科書通りすぎると言うか、予想通りすぎて何の驚きもない。
最後の最後に女性の声を抽出したものが流れるけど、何て言っているかよく分からなかった。

 

 

 

<消える>
   恐怖度:★★
 インパクト:★★★★★
分かりやすさ:★★★★
  不気味さ:★★★★★
 エピソード:★★★
ゴミとして捨てられていたHi8テープの映像。
投稿者の住んでいる地域は再開発によって住民が一気に増え、分別を守らない住民が増えたため交代でチェックしていたところ、ゴミの中にテープがあったという。
その中身を投稿者は見たようだが、10年前ならともかく今時見れる環境あるのか?ってか「監禁(パート22)」の変態みたいなことするか?
投稿者によると、その地域では10年ぐらい前、水道管の工事中に4人分の人骨が見つかったという。
空襲に遭った人のものと思われ、それが関係しているのではとのことだが、その時代にHi8なんてある訳ないだろ。
ってか空襲は50年(10年前の話をしているから+10年?)どころか70年ぐらい前だ。それぐらい覚えとけ。
初っ端からツッコミどころが多すぎる。

 

スタッフが調査したところ、人骨が見つかった場所は道路だが、かつては木造住宅があったという。
そして、バブル期の区画整理で立ち退きを行ったが最後まで残っていた家があり、その住民が亡くなったことで取り壊され、道路になったようだ。
また、その骨の年代は戦後のものである可能性が高いとのこと。
・・・投稿者の証言メチャクチャじゃん。
そもそも誰が捨てたのかとか、何でそれを持ってたのかとかは調べないの?

 

ここで肝心の映像。
テープの保存状態に反して、異常なほどノイズが乗っている。
ちゃぶ台を男女4人(家族?)が囲っていて、最初は微動だにしないが、急に狂ったように笑いながら談笑をしだす。
すると、ノイズに紛れて1人ずつ消えていき、最後には誰もいなくなる。

 

この映像、言ってしまえば心霊現象でも何でもない。
消える際に、必ずノイズという名の編集点が挟まるので、1人ずつ減らしてそれっぽく繋ぎ合わせればハイ完成だ。
画質やノイズだって、この頃にはスマホアプリでテープ風に加工することも簡単にできるようになっていたため、素人でもちょっと勉強すれば再現可能だろう。
だが、この映像も菊池演出特有の狂気に満ちている。
この4人がそもそも家族なのか分からないし、何を話したらそんなになるんだってぐらい、狂ったように笑っている。
菊池演出だからこそできた、何もなくても不気味な映像だと思う。

 

最後に、発見された人骨は地中深く埋まっていた他、骨だけが混ざり合うように埋められていたようだ。
何かの事件に巻き込まれたのだろうか・・・

 

 

 

<禁忌 後編>
 エピソード:★★★★
3部作の後編で、前回までのあらすじはこんな感じ。

  • 投稿者らが八幡さんという友人の家でチーズフォンデュしていると、呪術的な声とドアの隙間から男のようなものが現れた。
  • それ以来八幡さんは隙間恐怖症になり、引きこもりのような状態となり、ついには自殺未遂してしまった。
  • 大学の先輩(石川)によると、知り合いの写真家が○女っぽい子の写真を欲しがっており、八幡さんがピッタリだと思って勝手に渡したとか・・・どう落とし前つけるんだこいつ。
  • 八幡さんの写真はムカサリ絵馬に使われた可能性が高く、依頼者の平塚和弘について調査することになった。

 

まずは平塚和弘の家に行ってみることに。
阿草と熊倉が取材交渉を行うが、和弘の母親が出てきて、取材拒否され閉められてしまう。
そこで近隣住民に話を聞いてみると、息子と2人暮らしのようだが、息子は引きこもっているのか見た事ないという。

 

さらに調査を続けると、次男の同級生である池内さんという人に辿り着き、話を聞くことができた。
次男の明生さんは3年前に交通事故で亡くなったという。
また、長男の和弘は病気により学校にも来たことがないようだ。
ここで例の写真を見せると、確証はないが明生さんに似ているという。
明生さんが交通事故で亡くなってしまったため、和弘が冥婚を行ったのだろうか・・・

 

一旦スタッフルームに戻り、今後どうするかを会議することに。
決定的な証拠を得るため、明生さんに線香を上げると称して池内さんと一緒にスタッフを潜り込ませるという、明らかな犯罪行為を提案するサイコパス菊池。
問題は誰を紛れ込ませるかだが、
阿草「俺と熊倉くんは見られちゃってるから難しいですね」
菊池「まぁ川居さんか、そしたら」
阿草「えっ同級生ですよね?(ニヤつく)」
川居(阿草を睨む)
阿草「いくつだっけ?」
熊倉「27です」
阿草「27でしょ?」
川居(阿草を睨む)
菊池「無理か」
菊池(川居が睨んでいることに気付いてズームする)
川居(阿草を睨む)
↑また阿草が川居に喧嘩売ってるwww
何気に菊池のズームが天才的で、よりシュールなものになっている。

 

結局、1番若い森澤が潜り込むことになり、池内さんと合流した。
菊池「何か2人って同級生に見えないよね?」
↑今更言うなwww何なら増本くん呼び戻すか、最近裏方に回ってる今野君にまた無茶振りしてもらうか?
家の前に着き、カバンにカメラを仕込んで玄関まで行ったが、留守だったので帰りを待つことに。
8時を過ぎた頃、誰も帰った痕跡はなかったが部屋に明かりがついた!
という訳で、再び玄関に行き、家に招かれたところで次へ。

 

 

 

<砂浜>
   恐怖度:★
 インパクト:★★
分かりやすさ:★★
  不気味さ:★★
 エピソード:★★
海辺で息子2人が遊んでいる様子を撮影した映像。
砂の城を作っていると、画面右上に足跡が現れる。
また、砂相撲をしていると、足の間に生首のようなものがある。
この浜辺では、9歳の少年がサメに襲われて亡くなっているようだが、少年には見えない。
足跡もサイズおかしいし、何だかよく分からん。

 

 

 

<シリーズ監視カメラ マンション>
   恐怖度:★
 インパクト:★★★
分かりやすさ:★★
  不気味さ:★
 エピソード:★★★
マンションの駐輪場、階段、入り口、外廊下を4分割で映した監視カメラの映像。
このマンションでは深夜になると、玄関前の外廊下を歩き回るような靴音がたびたび鳴っていたという。
まず、外廊下の電灯が明滅し始める。
次に階段を上るような半透明の女性が現れ、それが消えると同じ女性が外廊下の奥に現れる。
靴音が鳴るようになったのは、投稿者の幼馴染が病死してからだという。
足が無いのに靴音に悩まされていたとは?
この女性、最後は奥の部屋に入ろうとしているけど、そこが投稿者の部屋なのかな。
怖さはないけど、結構好きなエピソード。

 

 

 

雛人形
   恐怖度:★★
 インパクト:★★★
分かりやすさ:★★★
  不気味さ:★★★★
 エピソード:★★★★
投稿者の先輩夫婦が、森林公園の園内にある防空壕のような洞窟で撮影した映像。
その洞窟の奥になぜか雛壇があり、お内裏様とお雛様の頭だけ無かったという。
また、奥さんはこの時妊娠していたようだが、へその緒が首に巻き付いて死産してしまったようだ。
そして、水子供養をしたところ、胎児が身代わりになったのかもしれないと言われたという。

 

そもそも雛祭りとは、紙の人形に穢れを移し、川に流したことが起源だと言われている。
お内裏様とお雛様の頭が無かったとこと何か関係があるのだろうか。
また、スタッフがその洞窟に行ったところ、雛壇ごと無くなっていた。
ところで、インタビュー中テレビに2人映り込んでいるけど誰だ?
1人は女性だろうけど川居っぽくないんだよなぁ、佐藤さんだったりする?

 

肝心の映像は、先輩夫婦が洞窟の奥まで行くと、カビにまみれた雛人形を発見する。
それを気味悪そうに見ていると画面にノイズが入り、雛壇の右側から女性のような顔がこちらを覗き込んでいる。
投稿映像そのものは並だが、何のために設置されているのか分からない雛人形や、それが跡形もなく無くなっている点はけっこう好き。

 

 

 

<指輪>
   恐怖度:★★★★
 インパクト:★★★★
分かりやすさ:★★★
  不気味さ:★★★★
 エピソード:★★★
友人と女2人で緑地に行き、そこで撮影した映像。
友人が指輪を落としてしまい、側溝に落ちてしまったのではないかとカメラを向けると、こちらを睨むような目元が映る。
だがそれに気付かず、側溝の隙間にスマホを入れ、中を見ることに。
すると、その奥に男の生首のようなものがあり、こちらを睨む。
その後ブロックをどかしたが、結局見つからなかったようだ。
2つ目はシチュエーションに反して地味だけど、1つ目の「目が合っちゃった」感が絶妙で、「飛ぶカメラ(パート55)」のような構成のうまさを感じる。

 

 

 

<続・禁忌 後編>
   恐怖度:★★★★★
 インパクト:★★★★★
分かりやすさ:★★★★★
  不気味さ:★★★★★
 エピソード:★★★★★
玄関前まで来た池内さんと森澤。
ここからは森澤の盗撮映像をお届け。
母親は廊下の奥に突っ立ったまま反応を見せないが、こちらが名乗ると近付いてきた!
線香上げにきたと言うと了承を得て、家に招かれる池内さんと森澤。
まずは明生さんの仏間に線香を上げ、部屋を見渡すが例の写真は見当たらない。
お茶をもらうことになり、池内さんの活躍もあり昔話に盛り上がる3人。
森澤が和弘について尋ねると、上にいるという。
このまま探っていきたいところだが、母親が卒業アルバムを持ってきたため森澤ピンチ!
そこで森澤は、トイレに行くふりをして強引に探すことにした。
1階にそれらしきものはなかったので、和弘がいるという2階へ上がる森澤。
この時点で緊張感ヤバい。死ぬなよ森澤。

 

2階はほとんどが物置となっていたが、一室で和弘が真っ暗な中椅子に座っている!
声をかけるが返事はなく、近付いてみると、それは何と手作りの等身大人形だった!!
そして、この部屋に例の婚姻写真を発見し、決定的な証拠を得る。
唖然としたまま人形を撮影していると着信(母親が移動したという内容)が入り、部屋を出ようとするとババアに見つかってしまう!!!
シャレになんねぇ、森澤殺されるんじゃないかこれ。
森澤が下手な言い訳をするが聞き流され、少しづつ距離を詰め、部屋の隅に追い込まれてしまった!!!!
だがババアは人形の元へ行き、「ヒロ」と呼びかけながら奇声のような笑い声を上げる!!!!!
池内さんが助けに来てくれて、2人は逃げるように家を出るのであった。
状況説明してる時の森澤の表情と脂汗やべぇ。
そんな森澤をよそに、
菊池「もう1回行けない?」
↑無理に決まってんだろ!!!

 

映像を確認すると、ムカサリ絵馬の写真は明生さんのものではなく和弘のものだった。
これにより多くの謎が浮かび上がったが、母親のいとこから核心に迫る情報を得ることができた。それによると、

  • 息子が幼いころに離婚をして、息子2人を女手1つで育てていた。
  • 和弘は小学4年ぐらいの年に、小児ガンにより亡くなっていた。
  • その後、母親は和弘の年齢に合わせ、制服や教科書を買ったり願書を取り寄せたりもしていた。
  • それだけでなく、毎年成長するはずだった和弘の姿を、業者に作ってもらっていた。
  • また、人形も同じように手作りしていた。
  • 明生さんは結婚していたが、3年前に妻と共に事故に遭い亡くなってしまった。
  • 明生さんも亡くなったことで精神がおかしくなり、和弘が恨み言を言っているような気配を感じていた。

 

ここでスタッフの推論。

  • 母親は当初、若くして亡くなった和弘を供養するために、まるで生きているように扱っていたのではないか。
  • だが、明生さんも亡くなったことで精神的におかしくなったor 中途半端に生きているように扱い過ぎた結果、和弘が怨霊化していると感じるようになったのではないか。
  • そこで冥婚により成仏させることを思い付くが、架空の人物では効力が足りないかも知れないため、実在の○女を使うというタブーに手を出したのではないか。
  • これにより、結婚相手にされた八幡さんに霊障が及び、自殺未遂をしてしまったのではないか。
  • 八幡さんのアパートの前で目撃された人影は、怨霊化&強力な呪術により具現化した和弘だったのではないか。

 

後日、再び平塚家に行ったところ、出てくる事はなかったが、何かを唱えているようだった。
一方、八幡さんは意識が戻り、快方に向かっているようだが、あの写真はまだ平塚家にあり、予断は許されない状況が続いていた。

 

最後に、ババアが発狂する場面の映像。
ババアが奇声のような笑い声を上げていると、和弘の人形がババアの方に振り向く。
また、部屋を出る際、すりガラス越しに顔のようなものが映っている。
まぁ正直どうでもいい。
それよりも、ババアの狂ったような笑い声が何度見ても怖い。
上の評価はオール★5だけど、実際の評価は上から★6、★6、★2、★6、★5であり、投稿映像以外でここまで評価高くなったのはこれが初めてだ。

 

最後の最後に、本作の納品直前に八幡さんが亡くなったというテロップで終了となる。

 

 

 

<総評>
★★★★★★★★★☆
1本目は(いつもの)何の驚きもない典型的な劇場型だったが、それ以降はキレが増していった。
特に「指輪」は菊池演出初期ではできなかったであろうエピソードで、成長を感じる。

 

菊池演出期はもう1作あるが、本作が実質的な集大成となっており、3つの武器(お笑い、探検、狂気)がふんだんに盛り込まれた。
特に狂気は歴代最恐で、「消える」は実質的に心霊現象がないにも関わらずインパクトに満ちていたし、3部作のラストは鳥肌立ちっぱなしになった。
これまで、取材で一番怖かったのはSpecial1の「大山家」だったが、それはるかに凌駕しており、★6が3つという圧倒的な評価となっている。
かつては増本くんを菊池と一緒にアゴで使い、自分は常に安全圏にいた森澤が、あそこまで体を張ってスクープを掴んだのは賞賛に値する。
この経験が、ホラーやアイドル作品の監督といったキャリアアップに繋がったのかもな。

 

また、母親がムカサリ絵馬に手を出すようになった経緯については、いくつか考察の余地がある。
ムカサリ絵馬を思いつくまではいいが、あの母親はネット回線どころか携帯電話も持っていない可能性があるし、どうやって下村さんに辿り着いたのかも不明のため、母親はいつもの業者にムカサリ絵馬を依頼しただけで、相手が実在の人物であることを知らなかった可能性がある。
そして、妙にこだわった条件を提示したのは和弘が操った第三者で、自ら視察や選定を行っていたとも考えられる。
他のレビュアーもその説を考えている人がいて、母親を擁護して強引な調査をしたスタッフを非難しているのもよく見るが、だとしてもあのババアはやることやってるし、バレた後も祈祷を続け八幡さんを死に至らしめた訳だから、せめて証拠を掴んだだけでも製作委員会はよくやったと思う。

 

最後に、八幡さんにご冥福をお祈りします。
石川とかいうサイコ野郎のせいで、あまりにも理不尽な目に遭ってしまって・・・
そういえば、○女のまま亡くなったことになるのかな?
って事は、和弘とは離婚したことにして、弔いのために石川の写真を使ってムカサリ絵馬を作ってあげるのはどうだろうか!!!