ほん呪をはじめとした投稿映像系のホラー作品では、「これ作りもんだな」とか「そうはならんだろ」となるような萎え要素が結構ある。
今回は、そんな萎え要素の1つである「FPSみたいなカメラワーク」について語ってみる。
本記事では、FPSを一人称視点という意味で扱う。
本当はPOVの方がいいと思うけど、FPSの方が通じやすそうなのでご了承願う。
投稿映像を見ていると、カメラの視界=撮影者の視界となっているケースがよく登場する。
発見系によくあるケースで、臨場感を出すために有効な演出ではあるが、どうもやりすぎでわざとらしく感じることがある。
特にありがちなのが2段オチで、1つ目に気付いた撮影者がカメラを下ろす→カメラを上げると友人や彼女の背後に本命がいるというパターン。
ここで気になるのは、カメラを下ろしている間、撮影者はどこを見ているのかという点。
まさかずっとカメラの方を見ているとは思えないので正面を見ていると思うが、そしたら肉眼で本命が見えているはずだよね?それともカメラ越しにしか見えないとか?
FPSみたいなカメラワークでやらかしたケースを2つ紹介してみる。
1つ目はパート55の「黒い女(原題:誰がいなくなった?)」。
一緒にいたはずの友人がいなくなり、後ろを向くと黒いチェック柄の服が見え、上にカメラを向けると真っ黒な女がこちらを睨みつけているというもの。
上に向けるまでに3秒近くの間があり、いくらなんでもカメラに映っている視界=撮影者の視界となりすぎていて、普通先に自分の目で見ない?と思ってしまった。
とはいえ歩きスマホをしている場合、視界は通常時の5%しかないという研究もあるぐらいだからそこまで不自然ではないのかもしれないけど、はたして常に画面だけ見て撮影するものだろうか。
2つ目はパート93の「速度違反」。
ヘルメットにカメラを付けてサイクリングした帰り、夜の坂道で爆走していると「カメラの」目の前に逆さの顔が現れ、驚いて転倒するというもの。
事象自体がクソみたいなブラクラ系のためその時点で論外だが、それ以上に問題なのはその視点。
映像を見る限り、カメラはヘルメットの上部に取り付けてあり、投稿者本人の視点より最低15cmは高い。
また、坂道を走っているため、撮影者の視線は自然と下の方を向いているはずだ。
それに対して事象はカメラの視界一杯に映っており、現実的に考えると、投稿者本人は髪の毛がちょっと見えるか、気付かない程度になるはずである。
オミさん期自体雑なのが多いが、その象徴と言えるエピソードだった。
過去作を見てみると、常に画面を見ているような映像はあまりない。
特に発見系の場合は霊に気付いた後、カメラを下ろして肉眼で確認するようなパターンが主流で、ビクってなった一瞬の隙に消えているなんてパターンはめったになかった。
まぁ画面が小さかったり、もっと古いのだとモニター自体無くてファインダーという小さなレンズを見る必要があったので、ずっと覗き込むのはプロのカメラマンや映像制作でもなければしなかったのだと思う。
昔の名作が今も評価高いのは、そういう細かな自然さがあったからかもね。
FPSタイプでもう1つ気になることがある。
さっきも書いた、ビビッてカメラがブレた一瞬の間に幽霊さんが消えるパターンの場合、撮影者の目には霊がどのように映っていたのか。
まぁ画面に夢中で肉眼では・・・ってなるのがオチだけど、肉眼で見えていれば本当に一瞬で消えるのか、はたまた高速移動してたりふわっと消えるのかとか貴重な情報が得られるのにな。