死画像レビュー

評価:★★★★★★★☆☆☆
ほん呪とNot Foundのスタッフが集結したXXXの前身作品。
XXXに引き継がれる悪いクセも多いが、「霊感テスト」と「クニコ」は名作。

 

 

 

<錯死霊>
   恐怖度:★★
 インパクト:★★★★
分かりやすさ:★★★★
  不気味さ:★★★
 エピソード:★★
夏休みに実家に帰り、友人と母校の中学校に行った映像。
現在は廃校になっているようで、窓が開いていなかったのだが、「・・・して、ほしいんですよ・・・」という女の声が聞こえ、いつの間にか開いていたため出来心で侵入することに。

 

しばらく探索したところで、廊下に壁にどこかグロテスクさと不気味さを持った絵が撤去されていることに気付く。
それを描いた美術部員の女生徒が焼身自殺 or 火事により亡くなっているという。
そして、亡くなる直前に描いた自画像が美術室のどこかにあり、それを見ると霊が飛び出してくるという噂があるようだ。

 

美術室を見つけ、問題の絵を探す2人。
2手に分かれて物色していると、友人がロッカーの中に入った謎の赤黒い絵を見つける。
すると、友人が急に倒れこみ、何かに怯えるそぶりを見せて逃げ出してしまう。
友人の目線の先を映すが何もなく、投稿者もこの場を離れようとすると、ある違和感に気付く。
そこを映しながら友人のいた方へ動くと、紙みたいにぺらっぺらな女生徒の霊が正体を現し、こちらへと近づいてきたため叫びながら逃げるのであった。

 

飛び出してくるという噂だからホログラムみたいな感じかと思ったら、まさか紙のようにぺらっぺらだとは思わなかった。
ぺったんこな幽霊さんというと基本的には萎え要素だが、これはそれを逆に利用した斬新なエピソード。
だけどそれだけで、さすがに笑いの方が勝っちゃうよ。
あと、最後に何か見つけたっぽく終わるけど、よく分からなかった(多分、問題の絵がある)。

 

 

 

<死の報告者>
   恐怖度:★
 インパクト:★★
分かりやすさ:★★★
  不気味さ:★
 エピソード:★
自主映画の製作のため、主演俳優との顔合わせや読み合わせをしている映像。
助監督が主演の迎えに行くが、戻ってきたのは挙動不審なヤバい男で、「助監督が死んだ」とブツブツ言い続けている。
この男を知る人物は誰もいないようで、助監督のドッキリかと受け流していると、急にノイズが入り、男の顔がモザイクみたいに歪む。
その後、急に飛び出したので後を追うが、消えたかのようにいなくなってしまい、助監督が事故に遭ったという連絡が入る(後に即死と判明)。
直後、主演女優が過呼吸のような症状で倒れてしまった。
で、投稿者はこの男は霊なのではと言う。

 

その証拠となる、監視カメラの映像を入手することができた。
大学の入り口辺りを映したもので、謎の男が画面左から現れ、画面右下から現れた助監督に手を振る。
しばらくの硬直の後、つられるように謎の男に近づくと、画面左から軽トラが猛スピードで助監督を轢き、男は消えるのであった。

 

1本目は、事象が弱いのに位置ズレしまくってて目に悪い。
2本目は、Not Foundの悪いところが出た感じ。
もっとリアルな事故を描けるように修行して。
ってか服装合ってないし、そもそもあいつはただの報告者だし、何が何だか。

 

ちなみに、主演俳優は助監督に電話をしていないようだ。

 

 

 

<霊感テスト>
   恐怖度:★★★★
 インパクト:★★★★
分かりやすさ:★★★
  不気味さ:★★★★★
 エピソード:★★
友人と廃墟探索を行い、そこで拾ったVHSテープの映像。
ほとんどがただのノイズだったが、「霊感テスト」というテロップの後に謎の映像が流れたという。
最初に見たときは何もなかったが、次に見たときに異変が起きたようだ。
それをパソコンに繰り返しコピーすると、映像が徐々に変化していることに気付いた。
そして、友人が「きて」という女の声と共に何かに押され、大けがを負ってしまったという。

 

肝心の映像は、長時間見るのは危険という軽めの警告付き。
霊感テストというテロップの後、
・廊下からドアを映していて、そのドアがひとりでに開く
・スーパーの事務室みたいな場所で、椅子に座る着物姿の女性がいる
という2本の映像が流れる。
廊下のカットは何もないが、女性のカットではコピー1回目と2回目を比較すると、女性の顔が明らかにこちら側に向いてきている。
そこで、スタッフがさらにコピーしてみると、女性は真横まで振り向いていた。
スタッフは危険を感じ映像を封印、投稿者は除霊を受けたようだ。

 

画面直撮りでいいから、VHSのオリジナルも見たかった。
紹介されているだけでもかなり不気味だが、コピー3回目のラスト数コマだけ、さらにこちらを向いており目が合う。
それに気付くと不気味さ倍増。

 

 

 

<歌声>
   恐怖度:★★
 インパクト:★
分かりやすさ:★★★
  不気味さ:★★
 エピソード:★
自宅付近の路上に、深夜1時になると唄いながら歩く50~60代の男がいるため、友人といたずらで驚かす様子を撮影した映像。
唄声が聞こえ始め、しばらくしたところで「唄うなヘタクソ」と煽ると声が聞こえなくなる。
数分待っても姿を現さず、実は今まで見たことがなかったため、2手に分かれてそれぞれ撮影しながら探してみることに。

 

見つからなかったので帰ろうと友人に声をかけると、友人は何者かの声や足音が聞こえ、そちらを向く。
何も見えていないようだが、投稿者のカメラには友人に迫る大きい人影が映っており、友人を掴んで逃げる。
友人はこの時、冷気の様なものを感じていたようで、触れていたらどうなっていたのだろうか・・・
ちなみに、投稿者は毎日唄を聞いて慣れたのか、子守歌みたいになっていたようで、聞こえなくなって寂しいとか。

 

後日、スタッフが新たな事象を発見した。
友人が投稿者に掴まれて家に戻る際、玄関に真っ黒で目だけが白い男が映りこんでいた。
どっちも雑コラ丸出しで低クオリティー
ってか、友人のハチマキ巻いてるみたいな前髪なんなの?
聞こえなくなって寂しいという投稿者に対して「寂しいなどと言っている場合ではない」というテロップ芸で締めるが、この寒いノリはXXXでもたびたび登場する。

 

 

 

<貫通>
   恐怖度:★★
 インパクト:★★★
分かりやすさ:★★★★
  不気味さ:★★
 エピソード:★
開始早々、投稿者は風呂に逃げ込み、彼女の叫び声が聞こえる緊迫した雰囲気。
恐る恐る彼女のもとへ行くと、彼女が目を開けたまま気絶している。
当時のことを聞いてみると、カメラを買って彼女の家で試し撮りしていたら、彼女が動かなくなり、様々な異変が起き、風呂へ逃げたようだ。
ちなみに、彼女は逃げたことや投稿したことに不満な様子で、口げんかになり気まずい雰囲気に。だから(ry

 

肝心の映像は、彼女と酒をつまみながら話していると、スイッチが切れたようにちょっと動いてから硬直する。
呼びかけるふりして、谷間をドアップにして揺らすと、姿見に映る彼女の背後に手があり、気付いた瞬間に停電する。
ナイトモードに切り替えると、彼女の胸元から貫通したような女がいて、これにビビって風呂場に逃げ込み、冒頭に戻るというもの。

 

停電まではいい感じなのに、いざ本命が現れるとインパクトだけで、クオリティーの低さにがっかりする。
1つ前の「歌声」とこれは、XXXにも引き継がれる悪いクセを象徴するエピソード。

 

 

 

<クニコ>
   恐怖度:★★★★★
 インパクト:★★★★★
分かりやすさ:★★★★★
  不気味さ:★★★★★
 エピソード:★★★
トリを飾るのは、XXXにも引き継がれるシリーズ代表作。
投稿者は現在精神病院にいるようで、インタビューはそれ以前のもの。
中学の同窓会で、「3組のクニコちゃん、亡くなったんだよね」という声が聞こえたという。
その言葉が妙に引っ掛かり、実家にある卒業アルバムを見たが、クニコという子はいなかったようだ。
だが、「くに子」と書かれたVHSを見つけ、怖くなったので投稿したという。

 

このVHSについて親に聞くと、投稿者の弟が幼くして病死してしまったのだが、死の間際に「クニコちゃん」とつぶやき続けていたという。
そのことを聞いて、当時よく遊んでいた近所のお姉ちゃんの父親から受け取ったことを思い出したようだ。
だが両親によるとそんな子は知らないようで、投稿者本人も顔や名前は全く思いだせないという。
弟は、この映像を見て亡くなってしまったのだろうか・・・
また、インタビューの前日に縁のないはずの東北地方のコンビニから留守番電話が来たようだ。
ほぼノイズしか入っていないが、かすかに「クニコだよ...わすれないでよ...」と聞こえる。

 

満を持して肝心の映像。
80~90年代のニュース映像と思われるが、スタッフが調査しても、この出処や該当する事件を特定することは出来なかったようだ。
もちろん警告付きで、編集用に見たスタッフが、数日後にバンパーを破損する交通事故に遭ってしまった。

 

ブルーバックに及川くに子さん(14歳)の笑顔の写真、遺体となって発見されたというテロップの簡素なニュース映像。
また、「行方不明の父親が何らかの関与をしているとみて調査中」といった内容のニュースキャスターの声も聞こえる。
映像はループしているのだが、ノイズに紛れて写真のクニコが笑顔から真顔へと変化し、最後は茶黒くひび割れたような顔でこちらを睨む。
その後は約9分間もの間ノイズだけの映像を垂れ流し、アムモ98のテロップと共に終了。

 

公式がYouTubeにアップしており、かなり有名な映像。
なぜかあっちでは自殺したということになっているが、どっちかっていうと父親によって殺されたって感じのニュース映像のため、ちょっと違和感ある。
筆者がこの映像を初めて見たのはXXXでだけど、真顔に変化するところの恐怖性とインパクトが凄まじかったことを覚えてる。
個人的にひび割れた感じのやつは余計だけど、シリーズを代表するトリにふさわしいエピソード。
ただ、ラストのノイズだけで約9分は明らかにやりすぎ。
かなり目に悪く、てんかんを誘発する部分もあるので、2度と見たくない。
隠し事象がハッキリと映るのは1:10:33~1:10:34辺りだけなので、そこだけ見れば十分。

 

 

 

<総評>
★★★★★★★☆☆☆
XXXの前身作品なだけあって、全体的にXXXと同じ演出が用いられている。
後に続編が作られたとはいえ、当時は単発物の予定だったからか、寒いノリのエピソードがいくつかあり、そこが不満だった。
ってかそんなの受け継がなくてよかったのに・・・何となく、Not Foundスタッフの悪ノリな感じがする。

 

投稿映像については、XXXと比較すると斬新さを重視したエピソードが多かった印象。
ただ、それが恐怖に繋がるかというと微妙なところで、オチでがっかりするパターンの方が多かった。
ほとんどの人が同じこと書いているけど、やっぱり「霊感テスト」と「クニコ」は名作で、これだけのために見てもおつりがくる。
映像のインパクトは「クニコ」が勝るが、「霊感テスト」の不気味さはなかなかで、さらに隠し事象もあるのでよく見てほしい。
ハズレも斬新さだけはあるので、ラストの砂嵐以外は全体的によかったと思う。