ほんとにあった!呪いのビデオ 岩澤演出期総評

 

<担当作品>

パート42 ★★★★★☆☆☆☆☆
パート43 ★★★★☆☆☆☆☆☆
パート44 ★★★☆☆☆☆☆☆☆
パート45 ★★★★★★★★☆☆
パート46 ★★★★★☆☆☆☆☆
パート47 ★★★★★★★★☆☆
パート48 ★★★★★★★★☆☆
パート49 ★★★★★☆☆☆☆☆
パート50 ★★★★★★★★☆☆
パート51 ★★★★★★★★★★
パート52 ★★★★★★★☆☆☆
パート53 ★★★★★☆☆☆☆☆
パート54 ★★★★☆☆☆☆☆☆
パート55 ★★★★★★★★☆☆

平均:6.3

 

 

 

<評価・感想>
レビューを書く前までは、岩澤演出期がぶっちぎりで採点高くなると思っていた。
でもいざレビューを書くとこの通りで、特にパート52~54の「失われた仔ども達」編は想定よりかなり低く採点することになった。
この原因はほとんどが「演出過剰」だったことに尽きる。
特に視聴環境が変化したのが大きい。
今まではテレビのスピーカーを使用し、場合によっては別の作業をしながら流し見することもあった。
だが、レビューではヘッドホンを使い、場合によってはコマ送りやリピート再生も駆使して視聴していたため、投稿映像やメインストーリーの粗や過剰さが目に付くようになったのが、評価を下げる要因となっている。

 

あと、レビューを書いてて疲れた。
今までは1作3000文字前後ぐらいが相場だったが、岩澤演出期では4000~5000文字ぐらいになることもザラで、劇場版のパート55に至っては6700文字ぐらいもある。
更にストーリーが複雑で、何気ない一言が後に登場することもザラだから、できる限り書き逃しがないように神経を使う必要があった。
今まではレビューのストックを10作以上貯めてたけど、岩澤演出で5作まで減ったのがこれを物語っている。
菊池演出以降は記憶に新しいから、いくらか挽回しないとな。

 

次は投稿映像について考察してみる。
岩澤演出期では、割り込み系と劇場型が明らかに増えた。
割り込み系は、何気ない映像に不気味なものを入れるだけでできる、ある意味簡単な手法ではあるが、それが上手くいくかは難しい。
ヘタに怖くしすぎたりすると、わざとらしくてかえって怖くなくなるし、音声は定位や音質がモロに分かるからシラケることの方が多い。
岩澤演出の場合、音声はほぼハズレで、映像の方は上手くいったのと失敗したのが半々ぐらいかな。
劇場型は、簡単に言うと投稿映像そのものにストーリーがあるもので、本命の前に前兆が現れるというケースが増えた。
これもある意味難しくて、前振りがあからさま過ぎるとオチが読めてしまい、身構えてしまうことで怖さが半減してしまう。
「頭のおかしい女(パート49)」や「黒い女(パート55)」はこの典型例で評価を落としているが、「正彦シネ(パート42)」や「首の家(パート45)」は劇場型ではあるものの、そのオチがワンテンポ早く、不意打ち感を与えることに成功している。

 

もう1つ、斬新な投稿映像がかなり増えた。
中には斬新なだけのものもあるが、おすすめに載せたのは半分以上が斬新な投稿映像だし、ほん呪シリーズだけで既に50作以上製作されているのに新しい手法が次々と登場したのは、岩澤演出の腕があってのことだと思う。
菊池演出期以降は斬新なものがなく、KANEDAは斬新なものはあるが怖いのが皆無なため、このバランスが取れていた岩澤演出期までが高く評価されているのは納得(筆者は菊池演出期も好きだけどな)。
悪い意味で白石監督の影響を受けていると感じた「心霊玉手匣」シリーズは1作目だけで見る気無くしてたけど、今度見てみようかな。

 

 

 

<おすすめ>
・パート42「正彦シネ(原題:邪願)」
不意打ちのお手本。
霊の登場があと1秒でも遅かったら凡作になっていた、タイミングの重要性がよく分かるエピソード。

 

・パート45「逢魔時の怪」
生首ポロリはそりゃ怖いって。
さりげなくカメラワークも絶妙。

 

・パート47「廃墟の演奏会」
不気味さのかたまり。
最初の女はいなくてもよかった。

 

・パート48「続・首の家 憑いてくる怨霊」
単発ながらメインを張れる濃厚なエピソード。
本家(パート46)とセットで見ること推奨。

 

・パート50「13年の呪い」
シリーズ発足当初のエピソードも交えたメインを張れる一作。
投稿映像はちょっと過剰かな。

 

・パート50&52「不気味な置物」
最後の声は蛇足だが、とにかく不気味。
不気味さ6を獲得した数少ないエピソード。

 

・パート51「夜警」
過去作のいいとこ取りをした不意打ちの傑作。
数少ないオール5獲得エピソード。

 

・パート51「空中楼閣」
見れば見るほど味わい深い映像。
検証がぐだぐだじゃなければ・・・

 

・パート51「溶解 前編」
事象もだが、この女自体がとにかく怖い。
数少ないオール5獲得エピソード。

 

・パート52「雨の死者」
投稿者が霊に立ち向かう貴重なエピソード。

 

・パート54「私は誰」
劇場型の完成形。
岩澤演出のセンスと斬新さが光ってる。

 

・パート55「タイムラプス」
事象の斬新さと、一度消えたかと思ったら近付いてくる不意打ち感は一級品。

 

・パート55「飛ぶカメラ」
斬新さだけでなく芸術性も感じる見事な映像。
わずかに動いているのが恐怖を煽っている。

 

 

 

<主なスタッフ・出演者>
中村義洋
シリーズおなじみのナレーション。
凝りに凝ったエピソードに合わせ、語り多めだった。

 

・岩澤宏樹
6代目演出にして2代目パワハラ上司。
下っ端はもちろん、おそらく社内での立場が上の3代目横田にも食ってかかりまくっていた。でも最後にデレるよ。
吉田さんと菊池を失ったトラウマからか妙な正義感を持つようになり、福田演出期の女性陣並に感情的になってやらかしまくる困った上司。

 

・菊池宣秀
行方不明(という名の育休)から復帰した名物演出補。
行方不明になっている間に渡邉以上の観察眼を持つようになり、エピソードの真相解明に役立った。
だが抜けているのは相変わらずで、1度失態を犯して修行(という名の別作品の監督)に行き、さらっと復帰した。

 

・渡邊利枝
ローリング事件後製作委員会を離れていたが、菊池捜索にパシリとして駆り出された。
相変わらずの不幸属性と岩澤からのパワハラを受けながらも活躍し、菊池の復帰と共にまた製作委員会を離れた。
にしても、短期間で髪型(と顔)変わり過ぎじゃない?

 

・川居尚美
パート80までほぼレギュラー出演する名演出補の1人。
初期こそ散々な目に遭っていたがすぐに頭角を現し、演出補リーダーとしてメンバーを引っ張る。

 

・阿草祐己
川居と同期で、菊池発見後も時々登場した。
意外にも帰国子女で、隣のカレー屋のバングラディッシュ人と仲良くなった。

 

・横田季幸
初代とクリソツな3代目横田で、初代と同じコントをやっていた。

 

・井ノ上謙介
川居へのパワハラにクレームが入ったのか、パート51で追加になった演出補。
すぐ寝る、天然、オトボケ、絵が下手などキャラが立ちすぎていて、ネット人気は妙に高い(筆者はあまり好きじゃない)。

 

・押木大輔
メガネとマスク姿が印象的な演出補。
井ノ上ほどではないが、それなりにキャラ立ちしていた。