ほんとにあった!呪いのビデオ56レビュー

評価:★★★★★★★☆☆☆
あの菊池が修行(笑)を終え、演出として帰ってきた!
全体的にツメの甘さが目立つが、光るものもある。

 

 

 

<大女>
   恐怖度:★★★
 インパクト:★★★
分かりやすさ:★★★★
  不気味さ:★★★
 エピソード:★★
アルバイト先の友人らとコテージに泊まりに行った際に撮影した映像。
飲んでいる途中、1人が頭が痛いと言い先に寝て、その寝顔を撮りに行ったら恐怖の体験をしたという。
また、その友人は原因不明の頭痛で入院しているようだ。
友人はその日、ある湖に掛かる橋のフェンスにふざけて登ってから頭痛がするようになったようで、その場所は自殺の名所だった。

 

肝心の映像は、投稿者が友人の寝顔を撮影しに行くと、友人は寝ておらず、天井を見つめている。
そこにカメラを向けると身長2m以上はある大女が友人を見つめ続けており、こちらに気づき振り向く。
投稿者がそれに気付いてアタフタしている内にリプレイとなる。

 

この映像、菊池演出のほん呪デビュー作にして代表作になるポテンシャルはあったのだが、色々と惜しい。
具体的には、

  • 友人の顔にモザイクがかかっている→モザイク越しでも一応伝わるが、目が見開いていたり金縛りにかかってたという前振りが弱くなっている。
  • リプレイまでが早い→発見系は投稿者らのリアクションも大事なので、ビビってブレたらハイ終わりというのは余韻がない。
  • 大女の挙動→こちらを振り向く時、明らかに糸か何かで吊ったのを回転させているような挙動をしている。特に最初、あそび入ったろ。

こういう細かいところが、菊池演出のツメの甘さを象徴しちゃってるな。

 

後、2回目のリプレイ時にかかる砂嵐の解像度がやたら低くて、目に悪い。

 

 

 

<あるはずのないモノ>
   恐怖度:★★
 インパクト:★★★
分かりやすさ:★★★
  不気味さ:★★
 エピソード:★★
カップルが山道をドライブしている映像。
運転者の彼氏が、事故の痕跡を見つけて急ブレーキをかけ、降りて周辺を捜索し始める。
すると、フルフェンスヘルメットと何かにぶつかった跡のあるガードレールを見つけ、それを交互に撮影していると、ヘルメットに血だらけの顔(たぶん生首)が現れ、これに気付いた彼女がパニックになる。

 

まぁほとんどの人がオチを予想できたと思う。
どう見てもガードレールの傷は結構古いよね。塗装剥げたとことか結構くすんでいるし。
あと、ヘルメットきれいだし、他に事故の痕跡無いのが菊池演出のツメの甘さ。
個人的に、やたらズームしたまま視点変えるのが目に悪くてあまり好きじゃない。

 

 

 

<リベンジ>
   恐怖度:★★★
 インパクト:★★★
分かりやすさ:★★★★
  不気味さ:★★★
 エピソード:★★★
今回のメイン。
投稿者の兄(智之さん)が電車に轢かれて亡くなり、その遺品である携帯電話に残された映像が投稿されてきた。
亡くなる少し前から引き篭もりがちになっていたようで、まずは投稿映像に一緒に映っている友人を当たってみた。
映像が撮影された飲み会の後から様子がおかしくなったようで、眠れないと言っていたり、大学でも何かに怯えているような感じだったという。
また、「アヤノ(元カノ)のムービーがやばい」と言っていたようで、今度はアヤノさんについて調査することに。

 

コンビニでバイトしていたという情報を頼りに調査をしたところ、同じ学校に通っていたという人を見つけ、話を聞くことに。
半年前に辞めていたようで、最近、自宅マンションのベランダから落ちて亡くなったという。
その原因は、自身の裸の映像がネット上に流出し、それが生徒の間で広まったからだとか。
流出させたのは元カレで、ヨリを戻そうとして断られた腹いせでリベンジポルノしたという噂。
この元カレが智之さんなのだろうか・・・

 

肝心の映像は、酒の席で談笑しながら撮影していると、智之さんにカメラが向いた際に残像のようなものが現れる。
その直後、智之さんを映した状態で停止し、その顔がやきう民みたいに歪む。
歪み始めた瞬間からモザイク消えるから素顔わかるよなこれ。
岩澤演出以降よく見るパターンだけど、ギャグになる一歩手前ぐらいまで攻めた歪み方は高評価。

 

 

 

<シリーズ監視カメラ 商店街>
   恐怖度:★
 インパクト:★★★★
分かりやすさ:★★★★
  不気味さ:★
 エピソード:★★★★
商店街を映した監視カメラの映像。
深夜のようで、人や車の通りがまだらになる中、1人のホームレスがシャッター前に敷物を敷き、そこで横になる。
すると、ザ・たっちの幽体離脱のように半透明の体が起き上がり、寝ている自分をしばらく見つめた後、歩きながら消えていく。

 

こういうのめっちゃ好き。
おそらく寝たまま亡くなってしまい、その霊体が離脱した瞬間なんだと思う。
特に自分の姿をしばらく見つめているところは、亡くなった自分に別れを告げているようで哀愁を感じる。
最後は変に濁されているけど、坂本演出が得意としていた想像を掻き立てられるタイプの名エピソードだと思う。

 

 

 

<手鏡>
   恐怖度:★★★
 インパクト:★★★
分かりやすさ:★★★
  不気味さ:★★★
 エピソード:★★
元カノ(撮影時は付き合ってた)と居酒屋帰りに撮影した映像。
その帰り道の公園で、元カノは近場に落ちていた手鏡を拾ったようだが、それが突然割れたという。
数日後元カノの家に行くと置いてあった他、急に怒りっぽくなってしまい、別れたようだ。
菊池自ら元カノに電話してみたが、かなりキツイ感じで電話を切られてしまった。
にしても菊池のTシャツ、首元が3倍ぐらいに伸びてるな。
ちょっと前もそんな感じだったし、やっぱり仕事キツくて無頓着になっちゃうのかな。

 

肝心の映像は、元カノが手鏡を拾い、それを使って遊んでいる様子が記録されている。
投稿者が手鏡越しに元カノを撮影していると、傷だらけの女が割り込んできて、直後に手鏡が割れる。
ナレーションは火傷と言っているが、交通事故で地面に叩きつけられたような抉れ方をしている。
典型的な劇場型だしネタバレもしちゃっているが、恐怖性は高め。

 

 

 

<バックカメラ>
   恐怖度:★
 インパクト:★
分かりやすさ:★
  不気味さ:★
 エピソード:★
投稿者の車に取り付けられたバックカメラの映像。
駐車場に入り、バックして停めている最中、隣の車両の窓ガラスに目から血を流したような子供が映っている。
これは超分かりづらい。
暗いし、ちっちゃいし、広角カメラの隅だから歪んでるし、ファミリー劇場HDのロゴが被って見えない(笑)
あと、常時録画ですぐ上書きされるだろうに、何で気付いたの?そもそも見るの?という疑問もある。

 

 

 

<夜の住民>
   恐怖度:★
 インパクト:★
分かりやすさ:★★★
  不気味さ:★
 エピソード:★
行きつけの飲み屋で撮影した映像。
マスターらと談笑中、不意にカメラを足元に向けると、仰向けになった色白の子供がいて、投稿者はそれにビビる。
飲み屋に場違いな子どもがいるという意味ではインパクトあるかもしれないけど、雑すぎ。
発見系なのにここまで華がないのはある意味珍しい。

 

 

 

<リベンジ 後編>
   恐怖度:★★★★
 インパクト:★★★★
分かりやすさ:★★★★★
  不気味さ:★★★
 エピソード:★★★★
投稿者にアヤノさんのことやその映像について聞いてみたが、何も知らないとのこと。
智之さんの高校時代の友人(金子さん)に話を聞いたところ、撮影したのは智之さんだが流出させたのは宅間さんではないかという情報を得た。
アヤノさんは宅間さんとも付き合っていたようで、宅間さんは過去にも元カノとの写真や動画をばら撒いていたようだ。
また、宅間さんとアヤノさんが口論しているのを目撃し、その際に智之さんになすりつけ?をしていたという。
まぁ智之さんとの映像だったら、少なくとも智之さんがばら撒いてることになるよな。
ちなみに、金子さんも例の映像を見たことがあるようだが特に異変はなく、智之さんと宅間さんが持っている映像だけ変化した可能性がある。

 

案の定、宅間さんもおかしくなっているようで、スタッフは宅間さんの元に向かう・・・前に、智之さんの携帯電話を借り、データを解析することに。
スマホからはそれらしきものが見当たらなかったが、パソコンにコピーしてチェックしたところ、例の動画を見つけることができた。

 

夜になり、今度こそ宅間さんの住むマンションに行ってみることに(ちなみにここで、撮影者も宅間さんにすり替わっている、まぁそっちの方が筋は通るが)。
中にいるようだが呼びかけても出てこないので、待機することに。
交代で玄関前を見張っていたところ、一瞬ドアが開いた!
という訳で全員集合し、鍵がかかっていなかったので突入!!
中はゴミ屋敷となっており、奥に宅間さんを発見。
宅間さんに智之さんやアヤノさんについて尋問するが、時々反応を見せるものの何かに怯えているようで答えてくれない(ってか12時過ぎなのに声デケェよ)。
という訳でいつもの必殺技:投稿映像強制視聴を決行!!!
案の定発狂し、締め出されてしまった。
新人の森澤がマジビビりしてて草。

 

それから約2週間後、金子さんから、宅間さんが車に飛び込んで自殺し、その体に自分で噛んだと思われる傷があったという連絡が来た。
また、その直前に謎のメールを送っていたようで、それを転送してもらった。
その内容は、変換ミスやフリックミスしまくりで分かりにくいが、自殺を仄めかしたり、責任逃れしたり、何かに怯えているようなものだった。

 

ここで肝心の映像。
なぜか警告付きだけど、智之さんと宅間さん以外は多分大丈夫。
アヤノさんの裸の映像・・・なのだが○○撮りではなくピロートークで、シーツにくるまっているので肩ぐらいまでしか映らん。
ってかシーツめくったとこでカットしやがったなチクショウ!
それはともかく、アヤノさんがカメラを持った辺りから、アヤノさんと思われる人物が手招きしながら高い声を出している映像が割り込まれる。
最後にはドアップになり、白目になりながら奇声のような声を上げているところでリプレイになる。
ほん呪らしく無い映像だね、怨霊映像とかXXXあたりにありそうな感じ。
まぁ映像そのものは恐怖性高い。
それ以上に、リベンジポルノを題材とした因果応報な展開は、児玉演出期ぐらいのいい塩梅だったと思う。

 

 

 

<総評>
★★★★★★★☆☆☆
パート51の失態から製作委員会を離れ、修行(笑)を行っていた菊池が復帰するどころか、まさか演出になるとは。
まぁ実際は滝行(笑)ではなく「呪いの心霊映像」シリーズを手掛けていたから、キャリアを積んで戻ってきたと言ったところか。
そのデビュー作である本作は、意外にもシリーズファン向けのディープなものではなく、初心者向けのライトなものが多かったという印象。
まぁ前任の岩澤演出が凝り過ぎてたから、反動でそう感じるだけな気もするけどね。
また、現時点では経験不足なのか、ツメが甘かったり安直な発見系に頼りすぎている印象があった。
とはいえ滑り出しとしては悪くなく、「商店街」の哀愁漂うエピソードや、「リベンジ」の着眼点は光るものがあったため、今後に期待。

 

最後に余談だけど、「リベンジ 後編」の映像は、筆者が密かに提唱している「霊界IT社会化説」によって作られたものでは無いかと思う。
簡単に言うと、霊界には心霊スポットや撮影者のもとに派遣される幽霊さんだけでなく、心霊映像を作るチームみたいなのがあって、そこで作った映像をハッキングして送りつけているという説。
フィルムやテープの変化系は原理的に無理ゲー感あるけど、デジタル化した映像が主流になった現在ならあり得ると思っている。