呪いの心霊映像XXXシリーズ総評

 

<作品>

死画像 ★★★★★★★☆☆☆
XXX1 ★★★★★★★★☆☆
XXX2 ☆☆☆☆
XXX3 ☆☆☆☆
XXX4 ☆☆☆
XXX5 ☆☆☆☆☆☆☆
XXX6 ☆☆☆☆☆☆
XXX7 ☆☆☆☆☆☆
XXX8 ☆☆☆
XXX9 ☆☆☆☆
XXX10 ☆☆☆☆☆☆☆
XXX11 ☆☆☆☆☆
XXX12 ☆☆☆☆☆☆☆☆
XXX13 ☆☆☆
XXX14 ☆☆☆☆☆
XXX15 ☆☆☆☆☆☆
XXX16 ☆☆☆☆☆☆

平均5.2

 

 

 

<評価・感想>
本シリーズを初めて視聴したのは2019年前後で、ほん呪が最新作に追いつきNot Foundを流し見しながら、他に見るものないかと探していた時に見つけた。
アマプラで探していたので、どこが作っているのか分からない謎シリーズをいくつか見ていたのもあり全く期待していなかったが、初めて視聴したXXX1の「クニコ」「ヒンナ神」に度肝を抜かれ、一気見するほど引き込まれたのを覚えている。
だが、XXX5辺りから違和感を覚え始め、作風が少しずつ合わなくなってきて現在の評価に至る。

 


筆者が一番合わないと思ったのはコンセプトそのもので、本シリーズの大きな特徴は「スタッフ、現地取材の排除」と「投稿映像の関連性」にある。
ほん呪をはじめとした投稿映像系ホラー作品では当たり前のように登場している名物スタッフをあえて排除し、現地取材も排除しているにも関わらず、投稿映像の関連性を持たせるという高度なことをやっているように見せて、よく見るとかなり無理していたり、イキりを感じることが多かった。

 

本シリーズではスタッフが映ることはほとんどなく、あっても後ろ姿や相槌が少々聞こえる程度のため、他シリーズでは当たり前のように登場する名物スタッフが存在しない。
それによって全体的にシリアスな作風になっているように見えるが、スタッフの代わりとして個性の強い投稿者、本ブログで言うところのキモ男が良く登場している。
こいつらが本シリーズにおけるギャグ枠になっており、狙ったようなアングルや編集で笑いを取ろうとしている様子だが、キモ男がニヤニヤしているだけで不快感しかなく、笑えるところは1つもなかった。
個性の強い素人といえばNot Foundシリーズがあるが、あちらは電波な素人に対して妙に純粋なAD杉本と冷めた目で見る古賀Dの対比が面白いのであって、電波な素人自体は別に面白くない。
また、投稿者の中にシリーズファンということを公言している者も多いが、それが死亡フラグになっているコワすぎや、さりげなく特製Tシャツを着てファンサービスしたほん呪のような笑いもなかったため、ただの自画自賛にしか見えなかった。
お笑いの基本はボケとツッコミ(リアクション)であり、スタッフを排除している本シリーズとは根本的に相性が悪く、多用すべきではないと思う。

 

「投稿映像の関連性」は本シリーズの肝であり、多くの投稿映像で撮影場所や事象の関連性を持っている。
特に「渦巻き」「左前の女」辺りはよく登場し、視聴中は気にならなくても、後で見返すと何かしらの関連性が見えてくることが多い。
ただ、本シリーズの「現地取材の排除」がここで足を引っ張っており、関連性は見えてもあくまで匂わせ止まりであり、その目的はほとんど不明のままだった。
まぁ目的を求めて残念になるケースも多いため一概に悪いとは言えないが、本シリーズはコンセプトを言い訳にしている印象が強く、もっとやれることはあったんじゃないかと思うことが多い。
また、現地取材を排除している代わりとして投稿者に喋らせており、聞いてもいないことをどんどん話すようなご都合主義感や、ぶっちゃけ話盛ってない?ってか注目されようと出任せ言ってない?と思うような証言も多い(特にXXX16「恋人」)。

 

予告編で「無駄な調査一切なし」だの「つまらない調査はもういらない」だのと他シリーズにケンカを売るようなことを言っておきながら、形が違うだけで似たようなことをやっているだけでなく、コンセプトを言い訳に必要な検証ですら排除しているせいで、どこまでいっても匂わせ止まりな作風となっており、シリアスにもギャグにもなりきれていないとしか思えなかった。
本シリーズを筆者が一言で表すなら、いわゆる「意識高い系」ってところ。

 


投稿映像に関しては、下記のおすすめにあるように初期の映像にインパクト抜群なのがいくつもあり、それで一気に引き込まれた。
また、毎作ラストに警告映像が登場しており、シリーズの象徴としてインパクトのある映像が登場している。
ただこれも、作品数が増えるにつれて少しずつ合わなくなってしまった。

 

特にラストに関しては、ほとんどが以下の要素を4つ以上持っている。
・VHSなどのオールドメディアで、だいたい状態が悪い
・いくつかの意味深な映像がランダムに割り込まれている
・不快指数の高いノイズ音
・数コマだけサブリミナル映像が出てくる
・顔を隠している謎の女が素顔を晒す
・死体や流血などのグロ
そのため既視感のあるものばかりで、XXX5辺りで既に飽きてしまい、筆者としては警告物が一番のハズレ枠だった。
特に後期は恐怖や不気味さよりもグロやショッキングに力を入れてしまっており、「クニコ」があれだけのインパクトを持っていたのに、続編&無印のトリを務めた「百物語」が意味不明な爆死になっており、投稿映像の劣化を感じてしまった。

 

その他の投稿映像に関しては、作中に登場したいくつかの謎組織に関するエピソードが半数近く占めている。
コンセプトを象徴している要素だが、メタ的に考えると限られた予算で複数のエピソードを製作するための創意工夫だったのではと思う。
事象はもちろん、撮影場所もよく見ると同じ場所だったりしているが、手抜きと感じさせない説得力があったのは本シリーズの強み。
他には、斬新な事象やシチュエーションが良く登場した。
特に死画像は斬新さに全振りしたようなのが半数を占めており、無印シリーズでは1番最後に視聴したけど、1番新鮮に感じた。
後期になるにつれてコンセプトのしがらみによって既視感が増えたが、筆者が1番期待している要素のため、これからもあっと言わせる斬新なものを見てみたい。

 

改めて見て気付いたのは、他シリーズではよく登場するゾンビ顔の幽霊がほとんど登場しなかった。
他シリーズでは亡くなった人が生前最期の姿で登場していることが多いのに対し、本シリーズでは超能力や呪術による事象が多かったため、コンセプトに合わないと判断されたのではないかと思う。
まぁ本シリーズは死体や流血などのグロが多く、総合的にはグロ寄りな作風だったけどね。
また、2つのカメラで撮影された同期系の映像もよく登場した。
整合性とか(合成だとしたら)リアクションが合っていないと失敗してしまう高度な手法であり、それを積極的に採用した技術の高さは買えるけど、最初から分割して小さくなっちゃったエピソードが多かったのは惜しい。
本シリーズでも最初は個々に紹介して、後で合わせていることもあったので、全部そうしていたらよかったのにと思う。
やっぱり、技術よりも初見でのインパクトや恐怖の方が重要よ。
それと、中期以降は特撮に出てきそうな怪人や妖怪みたいなのが時々登場するようになった。
正直、これの存在が本シリーズのイメージをぶっ壊しており、どこに向かってるんだ?と心配になった。

 


本シリーズのスタッフはTeamXXXと表記されていて、ほん呪スタッフとNot Foundスタッフが結集していること以外は明らかになっていない。
とはいえ考察勢の間では何人か推察されており、特に岩澤演出は中心人物として関わっていると思われる。
レビューでも何回か書いたけど、事象の特徴とか妙に凝っているエピソード、そして作風に関する飽きも岩澤演出期に感じたものとほぼ同じだった。
他のスタッフはあまり確証ないけど、藤本演出はほん呪で逆輸入したようなエピソードがいくつかあったため、関わっていたんじゃないかと思っている。
菊池演出は今でもほん呪に裏方として関わっているし、作風の相性が悪いから関わっていないと思う。
福田演出、寺内演出は手広くやってるから関わってそうだけど、それらしきエピソードはあまりなかったかな。
強いて言えば、作風が明らかに違ったXXX10にそれっぽいのがあったぐらい。
個人的な大穴は増本くんで、ほん呪を離れてからは監督業をしていて「心霊マスターテープ」では心霊ディレクターとして出演しているが、調べてみてもホラーをやっていた感じはあまりない。
実は「クニコ」が増本監督の作品だったら夢が広がるな。

 


最後に、8割方愚痴みたいな感じになってしまったが、シリーズ初期はかなりの衝撃を受け、当時はほん呪全盛期にも匹敵すると思っていた。
本ブログでの評価低迷の一番の理由は飽きであり、次回からXXX_NEOとして再始動するため、成功するか失敗するか見届けようと思う。

 

 

 

<おすすめ>
・死画像「霊感テスト」
本シリーズが誇る不気味系映像の代表作。
ラスト数コマで目が合うことに気付くとさらに怖い。

 

・死画像「クニコ」
ネットでも有名なシリーズの象徴。
真顔に変化していくところが恐怖。

 

・XXX1「ヒンナ神」
50cmぐらいの人形が数体歩いている超不気味映像。
人形と目が合うところが特に怖い。

 

・XXX2「タイジ」
ネット怪談「登山家のビデオ」を彷彿とさせる映像。
事象がなくても十分怖い(と言うより、事象がちょっと弱い)。

 

・XXX2「近付く声、遠のく声」
車内で起きたパニックが傑作。
ラストは究極の出オチ。

 

・XXX3「家族の食卓」
さりげなく隠し事象があり。
メインではあえて見切れてる霊が現れたりと、地味ながら印象に残るエピソード。

 

・XXX4「その部屋」
布団の中を侵す恐怖性の高い映像。
「家族の食卓」の関連エピソード?どうだっていい。

 

・XXX4「ホラールーム」
完成度の高いパニック系。
ぬいぐるみの恐怖性は高いが、オチはちょっと弱い。

 

・XXX5「アルプス一万ジャック」
「ベティの誕生日」を彷彿とさせる事象と、さりげなく隠し事象あり。
彼女(本物)にビビりまくる投稿者がツボ。

 

・XXX6「歪む部屋の住人」
約3日もほとんど動かない女の狂気がいい。
ラストの渦巻きは蛇足。

 

・XXX9「夕焼小焼」
聞き慣れたはずの夕焼け小焼けが不気味に感じる映像。
あの国民保護サイレンもかなり不気味。

 

・XXX13「上階の住人」
邪道ながらかなり怖い映像。
次作「名前」の投稿者が犯人説あり。

 

・XXX13「死人合わせ」
珍しくVHSじゃない警告映像。
左前の着物の女の不気味さが絶妙。

 

・XXX14「スピーカーフォン」
前半の緊張感が高く、霊が出なくても十分怖い。
後半はビックリ系フラッシュのノリ。